外があまりにも明るい。
 そうか、間もなく夏至なのか。
 それはそうと梅雨入りはどうなった。
 原稿締切に追われニュースもろくに見ないものだから世間の動きにも疎くなる。

 では、遅い時間になったが今日の本題。
 某公立高校で聞いた話。
 ある先生が自身の経歴を語る中で、かつての勤務校を「軍隊のような学校」と評していた。
 ほぼジョークである。

 良く言えば校長のリーダーシップが強力ということだが、ある意味ワンマン。
 先輩後輩の序列に厳しいが、規律ある組織。
 朝から晩まで仕事に追われるが、キャリア形成のチャンスには恵まれた職場。
 しかし、これをまともに言っても受けないので、ちょっと遊んでみた。
 ところが、世の中にはこれを言葉通り受けとるやつもいるから油断できない。

 私はかつてオーナー企業というのに勤めたことがある。
 最初の会社は超ワンマンだったが、それでも都会的なスマートさが感じられた。
 いろいろな仕事を振られたが、今となってはこれほどキャリア形成に役立った時期はなかった。

 二番目の会社社長は、地方のたたき上げという風で、失礼だが品がなかった。
 公私混同が激しかった。
 「社長のオ●ナ」が能力もないのに権勢を振るうというテレビでしか見たことない世界を見たのもことときだ。
 へえ~、こういうのホントにあるんだ。
 会議中、灰皿が円盤のようにクルクル回りながら飛んできた。
 標的になった社員は、当たりどころが悪かったのか血を流していた。
 家に帰って家族にどう説明したのだろう。
 「お前は廊下に立ってろ」は毎度のこと。
 大昔の小学生じゃあるまいし。

 学校はゆるーい世界である。
 軍隊は軍隊でもおもちゃの軍隊だ。
 だが、辛さに耐えかねて辞めていく若者も多いという。
 学校をブラック職場ということにしたいマスコミによる印象操作という面もありそうだが、昔より退職者は多そうだとは感じる。

 民間企業では、新人がミスを犯すとこっぴどくやられるが、これは会社全体にとってマイナスだということになれば、頼まなくても上司や先輩が登場する。
 いや、うちの会社はそうじゃないぞという方もいるだろうが、私の経験の範囲では大体そうだ。
 わが社と取引関係のある会社の社員がミスを犯す。
 すると、こっちが「上司を呼べ」と言う前に、向こうから飛んでくる。
 社員を守るというより会社を守る行為だが、これが組織というものの一つのあり方だ。

 その点、学校は良くも悪くも組織という意識が薄い。
 校長、教頭といった管理職を除けば、言葉の真の意味で上司と呼べる存在がいない。
 年齢、キャリア、実力において先輩であっても、必要以上に同格が求められる。
 構造的に若者が孤立しやすいのだ。
 新規採用者の総数が少なく、同じ学校内に同期や近い世代が少ない状況もこれに拍車をかけている。

 自分たちはこうだったというのは、単に時代を説明しているだけだ。
 今の若者をあなたの時代に連れて行けば、あなたと同じように行動できただろう。
 私もいい加減年寄りなので、ついつい自分の若い時は、と語りがちだが、それは自分を語っているようでいて、実は時代を語っているだけなのだ。
 
 一生懸命教員希望者を募っても、採用するそばから止められたんじゃ追っつかんぞ。