本日、大雨の中、栄北高校の塾対象説明会に行ってきた。
 埼玉新都市交通(ニューシャトル)「丸山駅」から徒歩3分と近い。

◆何かと高めなニューシャトル
 埼玉新都市交通(ニューシャトル)は、案内軌条式鉄道(あんないきじょうしきてつどう)と呼ぶそうである。
 ゴムタイヤで走るが、分類としては鉄道らしい。
 東京の「ゆりかもめ」も同じ仲間だ。

 東北・上越新幹線の高架脇をへばりつくように走っているので眺めは悪くない(乗る側にもよるが)。
 新幹線を通すにあたり、町(伊奈町)が分断されると地元住民が反対したため、その見返りとして作られた経緯がある。
 ちなみに大宮以南に新幹線の見返りとして作られたのが埼京線。

 高いところを走っているからというわけではあるまいが初乗り料金190円で、大宮から8番目(15分)の「丸山駅」までは片道330円。
 大宮駅から同じ金額で、埼京線なら「川越駅」まで、東武アーバンパークラインなら「春日部駅」まで、上野東京ラインなら「赤羽駅」まで行けることを考えると、やはりちょっと高めだ。
 踏切がなく人身事故は稀。
 大雨、強風には強いが雪は苦手。
 6両編成かつ小型車両で乗車人数が少なめ。
 早朝・夜間以外は10分間隔、15分間隔の時間帯もある。
 とまあ、いろいろあるが、丸山駅の一つ先「志久駅」には日本薬科大学、三つ先「羽貫駅」には県立伊奈学園中学高校があり、生徒・学生の足として便利に使われている。

◆佐藤栄学園の末っ子
 佐藤栄学園は小学校から大学まで揃っているが、高校は4校。
 設立順は次のとおり。
 1972年(昭和47年)埼玉栄高校
 1978年(昭和53年)栄東高校
 1982年(昭和57年)花咲徳栄高校
 2000年(平成12年)栄北高校

 長男の(長女でもいいが)の埼玉栄ができて、その6年後に次男の栄東(開校時は埼玉栄東)、さらにその4年後に三男の花咲徳栄ができた。
 四男(末っ子)の栄北は、花咲徳栄から遅れること18年、平成に入ってから新たな高校としてスタートした。
 当初は、普通科の他、埼玉栄から移した国際情報技術科、自動車科があった(現在は普通科のみ)。

 この間、長男埼玉栄は、オリンピアンやプロスポーツ選手などを数多く輩出し、埼玉を代表する私学の一つとなった。
 次男栄東は東大合格者を次々に誕生させ、テレビのクイズ番組でも大活躍し、これまた埼玉を代表する進学校の一つとなった。
 三男花咲徳栄も高校野球甲子園優勝校となり全国にその名が知られるようになった。

 だが、年の離れた末っ子栄北は、いま一つパッとしない。
 いやこれは、学校の中身がダメだと言うのではなく、兄貴分たちに比べて圧倒的に知名度に劣るという意味だ。
 おそらく県南部以外の中学生からすれば、「そんな高校あったの?」という程度の認識だろう。

 もちろん、次に紹介するが着々と進学実績も伸ばしており、ほとんど「伸びしろばかり」というくらいの期待度抜群の学校なのだが、如何せん知名度がない。

◆「面倒見の良さ」だけでは
 個人的には、開校当初から注目していた。
 それは、生徒がやめない学校だったからだ。
 当初、お世辞にもできる子が行く学校ではなかった。
 他に行くところがなく仕方なく行く学校。
 そんな見方もされていた。

 ところがこの学校。
 とにかく生徒がやめなかった。
 偏差値的に同レベルとみなされていた学校が10%から20%近い中途退学者を出しているところ、この学校は1ケタ台の前半に収まっていた。
 ということで、私の最初の注目ポイントは、とにかく面倒見が良く、3年間の高校生活を全うさせ、それなりの進路を確保してくれる学校ということだった。

◆じわじわと大学進学も
 だが、世の中の人はちゃんと見ている。
 次第に入学者のレベルも上がってきた。
 それに伴い、大学進学実績もじわじわと上昇して行き、ついに昨年度は東大合格者も出た。

 今日の塾説で得た資料によると、公立併願校のトップ10は次の学校である。
 大宮北
 伊奈学園
 浦和西
 不動岡
 蕨
 上尾
 春日部
 熊谷
 熊谷女子
 与野

 こんな状況であるから、偏差値帯も上は65オーバー、下は60オーバーまで上昇している。
 入学者もここ数年間、定員超過が続き、6年度は絞りに絞って何とか329人(定員320)に抑えたという状況だ。

 令和6年春は、東工大1、東北大1、北大1など国公立に59人。
 早慶上智に15人。
 GMARCHに123人。
 と、卒業生数339人にもかかわらず、なかなかの結果を残している。
 ただ、強豪ひしめく南部地区では、それほど目立たない。
 そのあたりが残念なところだ。

◆校長自ら授業で引っ張る
 昨年度就任した渋谷千秋校長は自らも授業を持っている。
 松田信義教頭も同様。

 管理職が授業を持つべきかどうかは議論の分かれるところではある。
 マネジメントに専念するべきという考え方もある。
 しかし、この学校は今のところ、トップ自らが授業を牽引するというスタイルをとっている。
 渋谷校長は、前任の栄東時代、カリスマ教師(日本史)として生徒の間で知られていたそうだ(今日の塾説に来ていた栄東卒業生談)。

 説明会後、希望者は授業見学ツアーを行ったが、当然渋谷校長の授業もそのコースに入っていた。

 こいつはすごい。
 説明会の中で、本校は「学校完結型」を目指すと言っていたが、この授業を見せられたら、その意味が一瞬で分かる。
 言い方はなんだが、金払って予備校行かないとこのレベルの授業は受けられない。
 と、かつての地歴公民教師は納得したのである。

 それはいいが、この学校。
 広報・広告はお世辞にも上手いとは言えない。
 もちろん、公立に比べればはるかにましなわけだが、一応募集方面を専門にやっている私からすると、不満だらけ。
 このあたりは、長男埼玉栄、三男花咲徳栄を見習ったほうがいい。

 ようやくインスタも始まったようだが、投稿数2件、フォロワーは私含め15人。
 まだまだこれからだ。
 栄北 学校公式Instagram