埼玉県教育委員会は7月5日、令和7年度公立入試の各校選抜基準を発表した。
 昨年より1週間以上早い発表である。

 令和7年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜基準

 取り急ぎ普通科全校を確認したが特に大きな変更はない。
 細かな変更点はいくつかあるが、それによって受験生が志望校を考え直したり、今後の戦略(受験勉強の仕方)を変えなければならないような変更はない。
 その意味で概ね前年どおりである。
 令和9年度入試から(一部は8年度入試から)入試の制度・仕組みが変わることが決まっているから、ここで細かな変更をすることはあるまいというのが多くの学校の判断だと推測する。
 変えるなら、次の制度・仕組みの全体像が見えてきてからということだろう。

◆選抜基準を変えても何も起こらない
 私立高校が入試日程なども含め入試制度の変更を行うと、それによって受験生が増えることがある。
 (ただ、すぐに他校に真似られて長続きしないことが多いが)
 公立高校の場合、基本、同じ問題で同じ期日に、同じルールの下で行われるので、選抜基準をちょっといじったくらいでは何も変わらない。

 にもかかわらず、細かな点をいじくりまわす学校があるのは、何とか現状を変えたいという気持ちの現れであろう。
 だが、志願者数を増やしたかったら、あるいは志願者の質を上げたかったら、真っ先にやるべきなのは広報や募集戦略の見直しであって、選抜基準の変更ではない。
 仮に選抜基準を変えるとしても、それは広報や募集戦略の強化と合わせて行われなければならないのである。

◆面接実施校は減少
 今回、個人的に注目していたのは面接実施校の増減である。
 ここ数年、新たに面接を加える学校はなく、徐々に減る傾向にあった。
 だが、新たな入試制度では全校実施の方向が示されている。

 となれば、面接廃止の流れはいったん止まるのではないか。
 つまり、どうせまたやることになるのだから、ここで廃止することはないと判断する学校が多いのではないかと予想したわけである。

 ところが、普通科で3校、専門学科・総合学科で5校が面接を廃止した。
 どうせまた始まるのになぜだ。

 面接は教員の負担を増大させる。
 その割には選抜資料としてあまり役立たない。
 現場の評価はそういうことなのではないか。

 令和7年度の面接実施校は次の学校である。
 カッコ内は第1次選抜における面接の占める割合である。
 数字が多いほど面接を重視していることになる。

 上尾橘 (9.3%)
 小川  (16.7%)
 桶川西 (9.1%)
 川口青陵(5.0%)
 川口東 (2.0%)
 川越初雁(8.0%)
 北本  (10.0%)
 栗橋北彩(16.3%)
 鴻巣女子(10.0%)
 狭山清陵(4.8%)
 志木  (3.5%)
 庄和  (5.6%)
 白岡  (10.6%)
 草加西 (5.0%)
 新座  (5.3%)
 新座柳瀬(2.9%)
 蓮田松韻(10.3%)
 鳩ヶ谷 (4.8%)
 飯能  (3.5%)
 ふじみ野・普(5.6%)
 松伏・普(7.6%)
 三郷  (10.5%)
 三郷北 (5.1%)
 宮代  (4.8%)
 妻沼  (13.0%)
 八潮南 (5.5%)
 鷲宮  (8.3%)
 市立川越(5.6%)
 以上、普通科校及び普通科のある学校のみ。

◆第1次選抜の合格者割合が60%の学校
 選抜は第1次選抜、第2次選抜の順で行われ、学校によっては第3次選抜まで行う。
 第1次選抜と第2次選抜では、各資料(学力検査点と調査書点)の割合を変えることができる。
 たとえば、第1次選抜では「学力検査点対調査書点」の割合は「約6対4」までがリミットだが、第2次選抜ではこれを「約7対3」とすることができる。
 
 学力検査点を重視したい学校は、第1次選抜で合格させる者を下限である60%に抑え(上限は80%)、より多くを第2次選抜でとりたいと考える。
 したがって、第1次選抜で何パーセントを取ろうとしているかによって、その学校の方針をうかがうことができる。

 次の学校が第1次選抜における合格者割合を60%にとどめており、かつ第2次選抜で「学力検査点対調査書点」の割合を「約7対3」としている学校である。
 普通科五十音順
 
 浦和
 浦和一女
 浦和西
 大宮
 桶川
 春日部
 川越
 川越女子
 熊谷
 熊谷女子
 熊谷西
 越ケ谷
 越谷北
 坂戸
 所沢
 所沢北
 所沢西
 豊岡
 不動岡
 和光国際
 蕨
 川口市立 
 市立浦和
 浦和南

 学校選択問題採用校でここに含まれていないのは3校である。
 川口北、川越南、大宮北は70%である。

◆第3次選抜まで行う学校
 第3次選抜まで行う学校は、第1次選抜または第2次選抜で一定の点数をとった者を対象として「特別活動の記録」で選抜する。
 「部活枠」のようなものである。
 1~2%から5%の学校が多いが、上尾・商業科12%、白岡10%、鷲宮10%といった例もある。
 定員割れを起こしている学校は、第3次選抜まで予定していても第2次選抜までで合格者がすべて決まってしまうこともある。

 上位校では、春日部が定員の1%、川越南が2%、所沢北が2%、不動岡が1%、和光国際が2%を第3次選抜に割り当てている。

 以上、急いでまとめた資料なので数字に多少の誤りがあるかもしれない。
 (てっきり発表は来週と思い込んでいたので)