本来なら今日も文化祭取材に行くべきところだが、身内の法事があった。
 中途半端に時間が余り、かつこの暑さ。
 たまった仕事もあるがやる気が起こらず、主に読書で時間をつぶす。

 今日の課題は、「アントレプレナーシップ」について概要を頭に叩き込むこと。
 全容を知れればいいのだが、急にはできないので概略、概要。

◆取材(授業見学)のための予習
 来週、蕨高校に取材に行くことになっている。
 目的は同校の進路指導や進学実績について聞くことだ。
 (記事は「よみうり進学メディア埼玉版10月号」に掲載される)

 学校側と取材日時を調整する中で、11日に特別な授業があることが分かった。
 校長先生から「お時間あれば、こちらもご覧いただけるかもしれません」と言っていただいた。
 よく分からんが、なんか面白そうだ。
 「ただ、県主催の行事なので、学校だけの判断では・・・」(校長先生)ということなので、県教委に問い合わせたところ、どうぞと許可をもらえた。

 このやり取りの最中、たまたま埼玉新聞社と打ち合わせをしていたので、新聞社として取材したらどうかと提案したら、人員が確保できれば行きたいですと言っていた。
 ただ、「アントレプレナーシップって何ですか」とは聞かれた。
 近年文科省なども盛んに言っているのだが、一般への浸透はまだまだのようだ。

◆県の将来計画にも
 先ごろ発表された「第4期埼玉県教育振興基本計画」の中にも、「未来に向けて、新たな価値を創造していくためには、社会の持続的な発展を牽引しイノベーションの創出につながる次代の科学技術を担う人材や、アントレプレナーシップ(起業家精神)を備えた人材を育成していく必要があります」とある。
 県教委としてもこれからの教育における一つのテーマとして位置づけている。

 学校の先生の間では、すでにいくつかの実践も行われており広まりを見せているが、塾の先生方はどうだろう。
 必ずしもお仕事には直結しないと思うが、「最近そんなこともやっているのか」という程度に頭の片隅に入れておいていいだろう。

◆起業家ではなく起業家精神
 アントレプレナーシップは元々は仲買人を意味するフランス語だそうである。
 古くはシュンペーターなどもその存在の重要性について言及している。
 (シュンペーターはイノベーター理論を提唱した経済学者)
 また、私は勉強不足だが、ドラッガーの著書にも登場しており、彼によって世に広まったようである。

 日本には起業家が少ないと言われている。
 いないわけではないが、層が薄く予備軍が少ないようだ。
 そこで、起業家精神を持った起業家予備軍を育てようというのが国の方針である。

 起業家精神を持った人材を育成すれば、企業のイノベーションにもつながるだろうと考える。
 だから、別に起業そのものをしなくてもいいわけである。
 過去の事例を見ても、起業家というのは必ずしも学校教育が生み出したものではなく、むしろその枠外から発生している。
 よって、いま言われているアントレプレナー教育は、起業家になるための教育ではなく、起業家精神を持った人材の育成を目的としているようである。
 むろん、その中から真の起業家が生まれれば、それほどラッキーなことはない。

◆独立すれば起業家か
 会社を辞め、独立開業する人がいる。
 会社をおこすのであるから、これも起業の一種ではある。

 不肖私も組織を離れ、自前の会社を作って活動しているので起業したと言えば、そう言えないこともない。
 だが私は起業家ではない。
 なぜならイノベーションを起こしていないからだ。
 新たな価値を創造していない。
 技術革新を起こしていない。
 大きな企業や組織でやっていることを、単に小規模にやっているに過ぎない。
 こういう人間をいくら増やしても、世の中の進歩発展には何ら貢献しない。

 創造性豊かな人材。
 良い意味で破壊力を持った人材。
 広範な人的ネットワークを築ける人材。
 人を束ねるマネジメント能力を持った人材。
 失敗にめげない不屈の精神力を持った人材。

 こうした人材を育てるために、教育行政、学校、企業、大学とが連携し協力しようという流れは好ましいものだ。
 教育界が従来の枠にとらわれず果敢にチャレンジする。
 それこそアントレプレナーシップそのものである。
 今後どんな取り組みが始まるか注目しよう。