今日お伝えするのは、公立高校の先生方には何でもない当たり前の風景かもしれないが、部外者にとっては新鮮なニュース。
春日部高校ホームページに面白い記事を発見した。
SSH指定校である同校は、HPなどを通じて課題研究の様子などをこまめに発信している。
これもその一環だ。
特別講座というくらいだから、外部からどなたか呼んだのだろう。
と思いきや、講師は杉戸農業高校の先生。
へえ~、土曜日とは言え、そんなこともできるんだ。
直接取材していないので、HP記事の範囲だが、今年は課題研究で土壌に取り組む生徒が多いようだ。
生徒はネット情報等による断片知識は得ているが、体系的な知識がない。
そこで、専門家を呼ぼうとなり、杉戸農業高校の金子ゆき先生に白羽の矢が立った。
ということらしいのだ。
◆専門高校はプロの宝庫
考えてみれば、専門高校はその名のとおり専門家の宝庫なのだ。
杉戸農業高校の場合で言えば、バイオや作物栽培や発酵や微生物や、いろんな分野の専門家が揃っている。
専門家でなければ専門家の卵は育てられないから、当然と言えば当然だ。
企業や大学などから人を呼ぶのも大事だが、すぐ近くの、同じ県立高校から呼ぼう。
そこに気づいた春日部高校はさすがだ。
◆うちの先生の立場もあるから
ここでちょっと昔話。
大宮南高校に勤務していた時のことだ。
「すぐ隣の大宮光陵には芸術の専門家が大勢いるはずだから、たまにはそういう先生の授業を受けさせられないか」と校長に提案した。
大宮南と大宮光陵は直線距離で300mくらいしか離れていなくて、自転車使えば休み時間に移動できる。
だが校長の答えは「うちの先生方の立場もあるから」。
立場って何の立場だよと思ったが、あえなく却下された。
同じ県立高校同士でも事はそう簡単ではない。
ただしこれは30年以上前の話であり、今はどうなのかは分からない。
◆リソースを最大限活用する
話を戻す。
農業、工業、商業、家庭といった専門高校にはその道のプロが大勢いる。
普通科にも専門家と呼べるレベルの先生がいると思うが、層の厚さや分野の多彩さという点で専門高校に及ばない。
専門高校が持つリソース(資産・資源)はもっと有効活用されていい。
人(先生)もそうだし、施設設備もそうだ。
もちろん、自分のところの生徒をみるだけでも大変なのに、他人の生徒まで面倒みていられるかということもあるかもしれないが、プロの技と知識を専門高校だけの独占物にしておくのも勿体ないような気がする。
法や規則がらみの様々な壁はあると思われるが、身内の専門家の力を借りるという今回の春日部高校や杉戸農業高校の取り組みはもっと広がって欲しいと思った。
◆ポータルサイトの開設が望まれる
同じ県立高校であっても、隣の学校にどんな人材がいて、どんな取り組みをしているかが案外分からないものだ。
そこで必要なのが、お互いが持つ知識や技術、実践事例などを共有できる交流サイト。
県が研修などを通じて情報共有を図っているのは承知している。
他校の実践事例などは、その気になればいくらでも探せる。
しかし今の時代、もう少し気楽に、自由に、己の知識や技術、体験、実践などを語り合える場が必要なのだ。
今はどうなっているか分からないが、文部科学省肝入りの「教師のバトン」というサイトがあった。
始めてみたら、意図に反して愚痴ったり、ディスったり大荒れのサイトとなった。
この轍を踏まないように注意しよう。
その上で、実践や研究に重きをおいたサイトを目指す。
いや、すでにいろいろあるではないかとの反論もあるかもしれないが、玄関は一つの方がいいのだ。
起点となるサイトを作り、そこからそれぞれ目的のサイトに進む。
で、誰が作るかと言えば、これは県教委にお願いするしかない。
システムは民間でも構築できるが、大本のところではそれこそ専門家の知恵が必要なのだ。
先生レベルでの学校間交流やリソースの活用を促進するためにも、ぜひご一考願いたいところである。
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