大学の学部新設の話である。
もちろん守備範囲外であるから、本質的な部分に立ち入ることはできない。
今時、新しい学部や学科を作るとしたら、どんなネーミングになるんだろうという興味である。
4月9日、阿部俊子文部科学大臣は、2026年度に学部などの設置を計画している公私立の大学・短大延べ48校の認可について大学設置・学校法人審議会に諮問した。
申請があった大学及び学部等は次の資料で確認できる。
埼玉県関連では、平成国際大学が情報デザイン学部を申請。芝浦工業大学がシステム理工学部に生命科学課程を、人間総合科学大学が人間科学部に心身健康科学科をそれぞれ申請している。
◆共創学部
共愛学園前橋国際大学が「デジタル共創学部」、帝京平成大学が「共創学部」、種智院大学(京都)が「社会共創学部」を申請している。
共創を冠した学部は、九州大学「共創学部」、お茶の水女子大学「共創工学部」、静岡大学「グローバル共創科学部」といった先行事例がある。
共創とは文字通り、「共に」「創り出す」ことであり、企業社会でも注目を集めている言葉である。
「官」も「民」も「学」もみんなでやろうぜという方向性は時代に合ったものであるし、語の響きも悪くない、国際共創、地域共創、未来共創などと他の語とも組み合わせやすいので、これからさらに多くの場面で使われることになるだろう。
◆データサイエンス学部
文京学院大学が「ヒューマン・データサイエンス学部」、昭和女子大学が「総合情報学部・データサイエンス学科」」、武蔵野大学が「国際データサイエンス学部(通信課程)」を申請している。
データサイエンス学部はここ数年、新設ラッシュとなっており、すでに目新しさがなくなりつつある。
最初に作ったのは滋賀大学。一橋大学には「ソーシャル・データサイエンス学部」がある。
バリバリの理系ではなく文理融合型といった趣なので、大学側としては文系、理系両方から学生を集めることができる。
◆デザイン学部
平成国際大学(埼玉県加須市)と事業創造大学院大学(新潟市)が「情報デザイン学部」、畿央大学(奈良県)が「健康工学部・建築デザイン学科」を申請している。
かつてデザインと言えば、図柄を描いたり、建物を設計したりすることをだった。もちろん今でもその意味はある。「〇〇デザイナー」という職種が数えきれないほどある。
だが、近年は「「経営をデザインする」とか「ビジネス(仕事)をデザインする」とか、そういった使われ方が多くなった。つまり、計画し(企画し)、実行し、検証するといった一連の行為をデザインと称するのである。
他の語と結びつけて「〇〇デザイン」とすると何か新規性が感じられ受験生の注目を集めやすい。
とにかくこの言葉、どんな言葉とも組み合わせることができる。
◆デジタル学科
共愛学園前橋国際大学と帝京平成大学が「デジタル共創学科」(共に前出)、昭和女子大学が「総合情報学部・デジタルイノベーション学科」、大正大学が「情報科学部・デジタル文化財情報学科」、四国大学が「デジタル創成学科」を申請している。
ほぼ新鮮味を失っているが、デザインなどと同様、他の語と組み合わせることにより新しさをアピールできる場合もある。
これらをすべて盛り込めば「埼玉地域共創大学・データサイエンス学部・デジタルデザイン学科」といった形になる。
なお、この少子化時代に新学部を増設することを不思議に思う方もいると思うが、ほとんどが既存学部や学科の改組である。既存の学部・学科を廃止したり定員を減じたりして、新しい学部・学科を作ろうとしている。
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