このところ土曜日に仕事が入ることが多かったが今日はお休み。
 そこで世間話。

 吉村洋文知事の「ありがとう」SNS賛否 万博開会式「『ございます』では?」「世界共通語!」

 吉村洋文知事があいさつの中で「ありがとう」を連発した。
 いろんな人の協力があって明日の開幕にこぎつけたのだから、関係者に向かって「ありがとう」は当然だ。
 関西風に言えば「おおきに」といったところだ。
 で、SNSで問題になったとされているのは、なぜ「ありがとうございます」ではないのかという点だ。
 万博開催に否定的な方、あるいはアンチ吉村の方のいちゃもんにスポーツ紙が目をつけた。
 ただそれだけの話。

 で、この話はここまで。
 ここからは「ございます病(ございます症候群)」の話である。

 「ございます病(ございます症候群)」に罹っているのは、主に官僚(お役人)である。
 国会、県議会、市議会といった議会では政治家に代わってお役人が答弁に立つことが多い。
 かれらは答弁に先立ち必ず「お答えいたします」と言う。
 いや、いちいちそれ要らんだろう。
 議長から指名されて答弁席に立った時点で「お答えします」態勢なんだよ。
 すぐに本題に入れ。

 という話は脇に措いて、不要な「ございます」、あるいは誤った「ございます」についてだ。

◆「ございます」は「ある」の丁寧語
 「ございます」は動詞または補助動詞の「ある」の丁寧語である。
 したがって、「ある」を「ございます」に変換することは問題ない。

 食事を用意してある(あります)
 →食事を用意してございます

 ここに資料がある(あります)
 →ここに資料がございます。

 他にご意見はありますか
 →他にご意見はございますか。

 と、これらはOK。
 役人たちが変なのはこの先だ。

◆「いる」の丁寧語じゃないんだよ
 役人の世界では長くみんなが使っている。
 そこで、得意の前例踏襲ということなんだろうが、明らかにおかしい。
 「ある」は「ございます」に変換できるが、「いる」は変換できない。
 
 そのように聞いている
 →そのように聞いてございます ×

 検討している
 →検討してございます ×

 考えている
 →考えてございます ×

◆丁寧に言うなら「おります」だろう
 「いる」を丁寧に言うなら「います」。
 もっと丁寧なら「おります」だ。

 上記の例なら。
 そのように聞いています(聞いております)
 検討しています(検討しております)
 考えています(考えております)

 これが世間の正しい日本語。
 
◆下々の言葉は使わない
 言語(日本語)に詳しい方からは当然のこと反論もあるだろう。
 だが、ここで言いたいのは、「検討してございます」のような言い回し(表現)は、我々市井に生きるものは使わないということだ。

 庶民は使わない役人だけの言葉であることが重要なのだ。
 文法的にどうかなんて関係ない。
 「われらは、下々の者と異なり、使ってる言葉からして違うのでござる」
 そういうこと。

 議会答弁やあいさつで、「聞いてございます」「考えてございます」「行ってございます」と言った瞬間、ついにこの地位まで到達したかと感慨にふけるのであろう。
 教員の世界でも、現場で先生やってる間は、そんな言い方一度もしたことないやつが、指導主事とかになって教育委員会に入ったりすると、急に「ございます」と言い始めるから笑える。
 まあ、前例がすべてだから仕方ないか。
 現場に戻ったら庶民の言葉に戻せばいい。