しばらく話題にならなかったが、久しぶりに公立入試のデジタル併願制に関するニュース。
県立高入試の併願制「国の動向見守る」 茨城県教育長、導入に理解も
茨城県議会で、同県教育長が、自民党県議の質問に対し、「国が導入の方向性を示した場合には積極的に検討する」と答えた。
国がどこまで強く打ち出してくるかにもよるが、関東地方で真っ先に手をあげるのは茨城県だろうと思っていたが、やはりそうだった。
今春、突然、デジタル併願制が話題になったが、これは高校授業料無償化政策とセットである。
私立も含めた授業料無償化により、公立離れが加速するのではないかと危惧された。
そのとおりだ。
私立授業料無償化が先行している東京や大阪を見れば分かるではないか。
埼玉だって私立希望者が過去最高レベルで増加している。
そこで何か対抗策がないかと模索しているときに、誰かが「デジタル併願制というのがありますよ」と言い出した。たぶん、文部科学省ではなくデジタル庁。
教育の質の向上を図ることなく、老朽化した施設設備に何ら手を加えず、しかも先生の働き方にも何ら影響を与えることのない画期的な公立挽回政策、それがデジタル併願制。と、吹聴され、当時の政府もついその気になってしまったのだろう。
一応、理屈が必要なので、「一部の人気校を受けた生徒が、不合格で私立に流れるのを食い止められる」とか、「これまで公立と私立の併願しかできなかったが、公立同士の併願が認められれば、受験生の選択肢が増える」「思い切ってワンランク上の学校にチャレンジできる」などと、そのメリットが紹介された。
メリットがあれば当然デメリットもある。
その昔、都立高校であったように、入学先が自動的に割り当てられるような入試になる可能性があるとか、学校の序列化が一層明確になる、などである。
私は、学校の先生でも、塾の先生でもない。
つまり当事者ではないので、デジタル併願制が導入されようがされまいがどちらでもいいのだが、私立学校側に立って考えた場合、この制度はそれほど脅威ではないと感じる。なぜなら、入試の制度や仕組みを変えることによって得たリードは長続きしないからである。当初は目新しさで人気が出るが、直に問題点が明らかになり、すぐに人気は下火になる。こういうことを繰り返してきた。
公立人気が徐々に下がってきたのはなぜなのか。
入試の制度や仕組みが原因だったのか。
であれば、制度改革でばん回できる。
だから、そう考える人は、入試改革に邁進すればよろしい。
再び私立側に立って述べるが、公立がこの難局を入試改革で乗り切ろうと考えているうちは、私立は安泰なのである。

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