昨日、埼玉県教育委員会から、令和9年度公立入試に関わる発表があった。
令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜実施内容(暫定版)
各校の選抜方法は、通常であれば、当該年度になってから発表される。
令和8年度入試については、令和7年5月30日に発表された。
だが、令和9年度入試は入試制度の変更が予定されていることもあり、さまざまな情報が前倒しで発表されている。
今回発表されたのは、「暫定版」である。
正式なものは令和8年5月に発表されるが、ここから大きな変更はないだろう。そんなことをしたら早めに「暫定版」を出した意味がなくなる。
さて、ざっと目を通してみたが、まあ大体想定の範囲内だ。
塾の先生方もおおむねそのような感想をお持ちになったのではないか。
◆上位校は集団面接で配点は30点
新しい入試における大きな変更は、全員に面接が課せられることである。
これまでの入試でも、学校が希望すれば面接を実施することはできた。
現在進行中の令和8年度入試でも40数校が実施することになっている。
ただ、受験生が学力検査の1点、2点でしのぎを削っているような難関校や人気校では、ほとんど取り入れられていないのが実情だ。
令和9年度入試では全校全学科が面接を実施する。
学校側として、その必要性を感じていなくても、やらなければならない決まりだ。
そうすると、それらの学校は、配点を出来るだけ少なくするだろう。
配点は一番少なくて30点、その次が60点。
学力検査は基本5教科で500点であるから、それに比べたら微々たるものだ。
また、面接方法は集団面接、個別面接を選べるが、比較的時間効率の良い集団が選ばれるだろう。
いくつか例をあげてみよう。
浦和・浦和一女・大宮・川越・川越女子・越谷北・所沢北・不動岡・蕨・川口北などは集団面接であり、配点は最少の30点。
市立浦和・春日部・浦和西は個人面接だが、配点はやはり30点。
学力検査重視の選抜をしたいということだろう。
◆面接は新たな部活枠
令和9年度入試では、調査書から部活や資格に関する記載欄がなくなる。
しかし、実際にはこれらを武器に合格を勝ち取ろうという受験生もいるだろう。それだけで合格できるわけではないが強力な武器にはなる。
また、こうした部活狙いの受験生は、ある意味志望動機が明確であるから学校側としてもぜひ受かって欲しい。そこで、調査書点の加点材料となるような選抜の仕組みを作る。
だが、調査書から記載欄そのものがなくなってしまうと、高校側は活躍の事実を知る手段を失う。受験生はアピールの場を失う。
そうした中、唯一残された方法は、受験生が事前に提出する「自己評価資料」に部活での実績を記入し、学校側はそれを面接でたずね、そのことを含めた面接全体を高く評価できる仕組みを作ることだ。
共通選抜では30点か60点の二択だが、特色選抜にすれば学校独自に点数を付けられる。
いくつか例を見てみよう。
上尾・普通科は個人面接を行い、第1次選抜では60点だが、第2次選抜では800点中120点(15%)を与えている。商業科は同じく920点中240点(26%)を面接に与えている。
春日部東・普通科は集団面接だが、第2次選抜で1000点中275点を面接に与えている。
鷲宮は個人面接で、第2次選抜で980点中300点(30.6%)を面接に与えている。
むろん、面接は総合的な判断であるから、実績だけで高い評価が得られるわけではない。が、やはりアピールすべき材料を持っている受験生には有利に働くだろう。
◆特色検査の新規導入は1校
新しい制度では、学力検査・調査書・面接のほか、特色検査を加えることができる。
想定されているのは実技や作文(小論文)である。
これまで実技を課していた芸術系や体育・スポーツ系の学科は、そのまま特色検査として継続する。
新たに特色検査を設定したのは、作文(小論文)を課す三郷北。
◆浦高など傾斜配点
特定の教科の配点を高く設定する傾斜配点は、これもまでも理数科・外国語科など専門学科で行われていたが、新たに導入された特色選抜では、普通科でも傾斜配点が可能になった。
いくつか例を挙げておこう。
普通科で傾斜配点を実施するのは、浦和(数学150・英語150)、浦和一女(数学200・英語200 ※第2次選抜のみ)、川越(国語150・数学150・英語150 ※第2次選抜のみ)、川越女子(国語200・数学200・英語200)、川越南(数学200・英語200)、熊谷女子(国語150・数学150・英語150 第1次選抜のみ)、所沢(数学200・英語200)、飯能(英語150 第1次選抜のみ)など。
学校選択問題かつ傾斜配点ということになると、これまで以上に得点差がつくかもしれない。
新たにスタートする大宮科学技術も数学150点、理科150点と、傾斜配点を導入する。
昨日の今日なので、記事の元となるデータ作成も不十分であり内容に誤りがあるかもしれない。

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