間もなくやって来る9月26日は、大型台風襲来の特異日と言われている。
 私の記憶の中の最大級は、昭和34年(1959年)9月26日(土)の伊勢湾台風である。死者行方不明者は5000人を超えた。 
 近くの善福寺川が氾濫し、付近一帯は床上浸水となった。今でもその時のことを思い出すことができるが、父母や叔父叔母は皆すで鬼籍に入っており、当時の様子を知る者は身内にはいなくなった。

 さて、その9月26日(土)。
 埼玉県高校入試界では、学校説明会の集中日である。

▼東部地区
春日部女子・越谷東・越谷南(学校公開)・杉戸・草加・草加南・鷲宮
▼西部地区
川越・川越初雁・豊岡・松山・松山女子
▼南部地区
上尾鷹の台・上尾南・岩槻・浦和北・浦和一女・大宮光陵・大宮南・川口東・蕨・川口市立
▼北部地区
北本・鴻巣女子・深谷・本庄
▼専門高校等
熊谷農業・川越工業・川口工業・越谷総合技術・三郷工業技術・岩槻商業・大宮商業・誠和福祉・吉川美南

 私立高校でも説明会は行われるが、個別相談会の比重が高まって来る。

◆夏と秋では、説明会の役割が違う
 今日は9月下旬以降の学校説明会について考えてみたい。
 夏休みまでの説明会と、9月下旬以降の説明会は、同じ「学校説明会」という名前でも役割が違う。

 夏休みの段階だと、「どんな学校なのか知りたい」「一度見てみたい」という参加者がかなりいる。
 したがって、教育方針、コース、進路実績、部活動、学校行事、施設などをひと通り紹介する総合型の説明会でいい。

 しかし、9月下旬は違う。
 埼玉県では毎年10月1日現在で第1回進路希望状況調査が行われる。9月26日は、そのわずか5日前である。
 もちろん、各中学校での調査は10月1日を前にしてすでに終わっている場合が多いだろうし、この調査が最終というわけではない。
 だが、中学3年生にとって学校選びが「情報収集」の段階から「比較・検討」、さらには「選択」の段階へ移っていることは確かだ。
 であれば高校側も説明会の中身を変えなければならない。

◆「うちの学校はこんな学校です」だけでは足りない 
 夏に聞いた話を、秋になってもう一度最初から聞かせる。
 もちろん初参加者もいるから基本説明は必要だ。ただ、60分、90分を使って、校長挨拶から始まり、教育方針、進路指導、行事、部活と夏と同じ説明を繰り返す必要があるだろうか。

 この時期、受験生が知りたいのは、もう少し先の話だ。
 「自分はこの学校を選んでいいのか」
 「似たような学校と比べて何が違うのか」
 「入学したら、どんな3年間になるのか」
 「今の成績で、これから何を頑張ればいいのか」

 つまり学校紹介より、学校選択を助ける情報が重要なのである。
 学校側からすれば、「知ってもらう」段階から「選んでもらう」段階への移行だ。

◆迷っている生徒に答える
 この時期の説明会では「迷っている子」を強く意識した方がいいと思う。
 第一志望としてほぼ固めている生徒は、それほど心配しなくてもいい。むしろ重要なのは、「A高校かB高校か」「普通科か専門学科か」「公立か私立か」と迷っている層である。

 では、どんな話をするか。
 たとえば、「本校に向いているのはこんな人」という話。
 加えて、「こういう高校生活を望む人には、もしかすると別の学校の方が合っているかもしれません」と言ってもいい。
 別に他校を勧めるのではない。その方が本校の特性を際立たせることができるからだ。
 
 受験生が自分に合った学校を選べるよう材料を提供し、その結果として自校を選んでもらう。

◆季節が変われば説明の中身も変わる
 同じ受験生でも、夏休みまでの受験生と9月末の受験生では頭の中が違う。
 知りたいことも違えば、不安に思っていることも違う。学校との距離感も違う。

 ならば、学校側の説明も変わって当然だ。

 春から夏は、出会うための説明会。
 夏から初秋は、知ってもらうための説明会。
 そして9月下旬からは、比較し、確認し、選んでもらうための説明会。

 季節は確実に進んでいる。
 学校説明会だけが、いつまでも夏のままであってはいけない。