無償化の話題を二つ。
 無償化の話といっても、前原誠司氏による「教育無償化を実現する会」立ち上げの話ではない。
 政界のことはよく分からん。

 まず一題目はこのニュース。

 医療費“無償化”拡充、さいたま市が準備へ 「子ども医療費」中3まで助成対象、今後は高3まで広げる方針 埼玉県も助成拡充の方針示すも、さいたま市は対象外…対象とするよう県に要望中(12月5日 埼玉新聞)

 例によって記事本文かと見まごうばかりの埼玉新聞WEB版の長尺見出し。

 さいたま市・清水勇人市長は市議会12月定例会の一般質問で、2024年度からの高校生までの医療費無償化拡充を前向きに検討したいと述べた。 
 政令指定都市・特別区で高校3年生までの医療費無償化を実施しているのは一都三県で今のところ東京都だけで、千葉市と相模原市が24年度から高校3年生までの拡充を予定しているとのことだ。
  
 記事によると、清水市長は「子どもが安心して医療を受けられる環境を整備することは、市の子育て政策全体の根幹ともいえる重要な課題」との認識を示した。
 ということは、これは少子化対策の一環らしい。
 が、政策というのは、しばしば利権と結びついているので、ちょっとへそ曲がりだが、裏側を考えてみたくなる。
 
 我々年寄りと違って若い中高生がそうそう医者にかかるとは思えないが、たしかに家庭としては有り難い。
 しかし、無償をいいことに、ちょっとしたことでもすぐに医者にかかるようになったらどうだろう。
 医者の側から見たら患者の増加になる。
 結果、全体として医療費が増加する。
 直接的に家庭の負担がないのは助かるが、増加した医療費は市民全体が税金で負担することになる。

 まあこれは年寄りのひねくれた見方なのかもしれないが、少子化対策の決定打にはならんなというのが感想だ。

 続いて二題目。

 東京都、高校授業料を私立校含めて実質無償化へ…世帯年収910万円未満の制限を撤廃(12月5日 讀賣新聞オンライン)

 仕事的に関係が深いのはこちらの方だ。
 読者の皆さんご存知の通り、これまでは授業料無償化と言うけれど、所得制限付きであった。
 授業料補助は、国による就学支援と都道府県等による助成で成り立っていたわけだが、世帯年収910万円未満という条件が壁になっており、完全なる授業料無償化とはなっていなかった。
 都内私立には授業料がかなりの高額になる学校も多いので必ずしも全員が自己負担ゼロとはならないだろうが、所得制限が撤廃されたのは大きな前進だ。

 さて、わが埼玉県の場合だが、世帯年収の壁は存在する。
 それでも、国の支援と県の助成の合わせ技で、授業料に関しては何とか無償化に近づいてきた。
 授業料以外の施設費(これが結構高い場合もある)や入学金にも補助が出るようになった。

 ただ、埼玉県の場合はもう一つ壁がある。それは、私立に関しては埼玉県在住で県内私立に通う場合という条件付き助成であることだ。
 この条件は、県内生の都内への流出を防ぐ防波堤の役割を果たしている面もあるだろう。

 財政豊かな東京都、都立高校より私立高校の方が多い東京都。
 条件、環境があまりにも違い過ぎる東京都と、いきなり同じことができるかという話にもなるが、授業料無償化を謳うなら所得制限を引き上げるか撤廃するのがこれからの方向ではあるだろう。

 私はこの分野、あまり得意ではないので、認識に誤りがあるかもしれない。
 その場合は、後日訂正するつもりだ。