「退職手当26億円未払い 県教育局 臨時教員9730人分」。これ、今日の埼玉新聞1面見出し。地元紙なので、このニュースをトップに持ってくるのは当然だろう。また、見出しに大きな数字を掲げるのはセオリーどおりだから、これも問題ない。
この事務的ミスを犯したのは、部署でいうと教育局教職員課というところだね。
教育局の中でも、義務教育指導課や高校教育指導課といった部署は、学校の先生が多くを占めるが、財務課とか福利課とか教職員課あたりの職員は県庁の事務屋さんで、給与計算には精通しているはずなんだが、こういうミスが起きる。しっかりやってくれ。
今回の対象は臨時的任用教員なのだが、これは分かりやすく言うと常勤講師。授業だけが仕事である非常勤講師(時間講師)と異なり、勤務はフルタイムだし、担任をもったり、部活問を担当したりもする。つまり、正規の教員と同じ仕事をするわけだから、給与その他の待遇も一緒。ただ、あくまでも臨時であるから長く続けることはできない。
臨時的ということを時給いくらのアルバイトと勘違いして、退職金までもらえるのか羨んでいる人もいるが、臨時的任用教員とは、そういうものなのだ。
産休・育休や病休、急な学級増などで定数に欠員が生じた場合、臨時的任用教員で補う。
と、臨時的任用教員とは、の話はこの程度にするとして、気になったので正規の教員の数について調べてみた。
今回の記事を読んで、臨時的任用教員が9730人もいるのかと驚かれた方もいると思うが、2015年4月以降に退職した人の数であるし、教員全体の数を考えれば、まあその位はいるだろうなという程度の数なのである。
埼玉県の教育統計によれば、令和元年度の教員数(本務教員)は次のとおりである。
小学校 20.700人
中学校 12.388人
高校(全日制) 10.617人
特別支援学校 4.143人
教員数は、児童・生徒数の減少に伴い、減りつつある(後述)。
では、児童・生徒数の減少ぶりを改めて見てみよう。同じく埼玉県教育統計。
平成2年(1990年)と、令和元年(2019年)の比較である。
左が平成2年、右が令和元年。
小学校 497.209人 → 369.326人
中学校 289.723人 → 186.053人
高校全日制 271.005人 → 167.688人
児童生徒数は約30年前と比較し、実数でそれぞれ10万人以上、割合にして25~35%以上減少している。
教員数はどうか。(出所は同じ。1990年と2119年の比較)
小学校 22.116人 → 20.700人
中学校 13.891人 → 12.388人
高校全日制 12.131人 → 10.617人
教員数の減少は、10~15%以内にとどまっている。
つまり、児童・生徒数の減少の割には、教員数は減っていない。
ということは、ここに多少なりともゆとりが生じて良さそうなものだが、そうはなっていないところに、教員を取り巻く環境の厳しさがある。
今は部活動がクローズアップされているが、昔からやっていたことである。それが忙しさの最大原因なら、昔の教員は全員即死だ。
私はかねてから、世の中が学校に多くを求め過ぎ、学校もまた多くを引き受け過ぎたのが原因であるから、そこにメスを入れない限り、働き方改革は前進しないと言っている。
が、この話に入って行くと簡単には終わらないので、今日はここまで。
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