塾の先生からのご質問で最近多いのは、埼玉県公立入試改革に関連したものだ。
いつからというのは分かっているが、詳細については不明な点も多い。
ただ今度の中1はその対象になるわけで、入塾希望の保護者への説明、解説も必要らしく、そのため私への問い合わせも増えているのだろう。
そういう立場じゃないんだが。
別に特別な情報ルートがあるわけじゃなし、こっちだって公表された範囲しか知らない。
また万一、未公表内容を知ったとしても、そんなもの絶対に口外しない。
ただ、その上で、塾の先生方には次のように個人的な見解を述べさせてもらっている。
第一に、可能な限りシンプルな方法が取られるだろうということだ。
10年20年前と異なるのは、公立希望者は徐々に、確実に減少に向かっている。
かつてのような絶対的な存在ではないのだ。
そういう中で、より複雑な仕組みや、受験生に大きな負荷がかかるような制度改革をしたら、間違いなく希望者は減る。
改革は進めました。
でも、受験生や保護者の支持を失い、希望者がさらに減りました。
というのでは、何のための制度改革かということになる。
よって、現在よりも複雑になる、ないしは難しくなるということはないのである。
第二に、教員の働き方改革に逆行する内容にはならないだろうということだ。
入試制度が受験生を第一に考えたものでなければならないのは当然だ。
だが、教員の働き方改革を進めなければならないのは時代の要請である。
そういう意味で私は、今度の改革については教育の働き方改革という補助線を一本引いて考えると分かりやすいと言っている。
現に調査書記載内容から部活動が消えたではないか。
部活動の地域移行が徐々に進められ、生徒の学校外での活動が捕捉しにくくなった。
そこで、これを調査書から削除しようとなったわけだが、もとはと言えば、部活動の地域移行も教員の働き方改革の中から出てきたものだ。
入試業務や、その前段階の生徒募集業務は、重要ではあるが、教育活動そのものではないのだ。
だから、本来業務を過度に圧迫するようなものであってはならない。
令和4年4月に発表された「学校における働き方改革基本方針」(埼玉県教育委員会)の中にも「高校の生徒募集に係る取組については、高校と中学校双方において過度な負担とならないよう配慮することが必要です」とある。
入試及びその関連業務についても同様であろう。
私は、今回の入試制度改革は、教員の働き方改革に背中を押されたものではないかとさえ思っている。
塾の先生方も、このような視点からお考えになれば、少しは方向性が掴みやすくなるかもしれない。
ついでだが、いずれ近い将来、埼玉の学力検査にもマークシート方式が採用されることになるだろう。
一部なのか全部なのかは分からないが、これも教員の働き方改革という補助線を一本引いてみれば方向は明らかである。
採点ミスが減る上に、教員の負担が減るのだから、この方式が採用されない理由はない。
コメントを残す