3月13日、埼玉県教委から令和8年度公立高校入試に関する情報が発信されたので確認しておこう。
主に調査書様式に関わるものである。
令和8年度埼玉県公立高等学校入学者選抜について(中学1年生向けリーフレット)
はじめに確認しておくが、令和8年度入試は今日現在の中学1年生(令和6年4月から中学2年生)が主な対象となる入試である。
整理すると。
▼令和7年度入試(現行どおり)
現在の中学2年生(4月から中学3年生)
▼令和8年度入試(移行期)
現在の中学1年生(4月から中学2年生)
▼令和9年度入試(新制度)
現在の小学6年生(4月から中学1年生)
令和9年度入試については、その改善案がすでに示されており、今年1月には、現小学6年生向けにも発信されている。
今回発信されたのは、新制度への移行期に当たる令和8年度入試に関わるものであるが、特に目新しい内容はない。
昨年9月の埼玉県公立高等学校入学者選抜方法の改善に関する報告(令和5年9月12日)の中に、「令和8年度入学者選抜(令和7年度末実施)については、新たな入学者選抜方法への移行期間とし、部活動や地域クラブ活動等の実績は、現在の調査書における「5 その他」の項目に記載するものとする」とあったが、それを中学生にも分かりやすい形で示したものである。
塾の先生方が関心を持たれているのは、部活実績や資格取得についてであろう。
9年度入試からは、調査書の中からこれらを記載するスペースが姿を消すことになっているが、移行期である8年度入試ではやや形を変えて残るわけだ。
入試を有利に運ぶために部活を頑張ったり資格取得を目指したりしている生徒がそれほどいるとも思えないが、現中学1年生(4月から2年生)は、それらも評価に関係するという制度の下で入学してきた生徒たちである。途中から急に、それらは入試では評価しないと言うわけには行かないというのが、今回の移行措置の意味だろう。
高校側としては、8年度入試に向けて選抜基準の見直しを迫られることになる。
どのように変えるかはこれからの検討となるが、翌年以降、評価から消えることが決まっているのであるから、部活実績や資格取得に今まで以上の得点を与えることにはならないだろう。
◆透明性増す調査書
9年度入試からの調査書は、極端に言えば、学習の記録の評定だけになる。
これにより中学校の先生の負担は大いに軽減されることになるだろう。
また、高校の先生も、それらを一つ一つ読み込んで点数化して行くという作業から解放されることになる。
働き方改革に沿った改善策だ。
普段の行動に問題があると調査書(内申書)に不利なことを書かれる。
いまだにそんな噂が一部でささやかれているようだが、これもなくなる。
調査書(内申書)は、客観的事実としての評定、すわわち数字(5・4・3・2・1)が記載されるだけとなるからだ。
もっとも、今までだって自分の生徒のことを悪く書くような先生は誰一人いなかったのであるが、これであらぬ疑いをかけられることもなくなる。
出欠の記録欄も9年度入試からなくなる。
実際、これが合否に影響することはなかったのであるが、調査書に記載されている以上、何かしら関係してくるのではないかと思うのが人情だ。
だが、これからは要らぬ心配をしなくて済む。
◆面接で差がつくことはない
何人かの塾長から、新1年生・2年生の保護者から制度変更への不安の声があがっていると聞いている。
人々の不安や不満は商機(ビジネスチャンス)であるから、上手く利用されればよろしい。
ただ、その不安の源が面接であるとすれば、それはちょっと違うと思う。
面接は短時間に集中的に行われなければならない。
健康上の問題、精神的な問題を考えれば、受験生を長時間拘束するわけにも行かない。
では、午前グループ、午後グループといった形で時間差を設ければよいではないかとなるが、それでは面接の雰囲気や質問内容が後半グループに漏れて、不公平ではないかという声が上がってくる。
とすれば、3~5人の集団面接で時間は10~15分というのが現実的な方法となる。
事前に自己評価資料を提出することになっているから、面接官はそれに沿って質問する。
と言うか、それ以外の質問をする時間的余裕はほぼ無い。
受験生は練習してきたとおりの回答をする。
というような形式第一の面接で、細かく優劣などつけられるわけがない。
部活実績や資格取得が外れたことで、学力検査や調査書の評定の重みが相対的に増したのが、9年度入試からの改善案であるから、不安を持つなら面接ではなく、こっちだ。
私だったら、保護者の皆さんにそう訴える(もちろん受験生にも)。
まあ、それはそれとして、「面接対策」「自己評価資料書き方対策」など、塾としてサービス項目は増やせるだろう。
個人的にはマークシート方式も導入されると予想しているので「マークシート対策」も考えられる。
コメントを残す