「よみうり進学メディア埼玉版11月号」の特集「これが高校の授業だ」。
全4校を訪ねる本シリーズの最終回は、県立越谷南高校の外国語科1年生の「総合英語Ⅰ」の授業だ。
今年の特集では数学・物理・化学と理系科目が続いたが、今日は唯一の文系科目。しかも、外国語科設置校ならではの専門科目である。
◆生徒主体のアクティブな学び
週3時間行われるこの授業は、長文読解を中心に英語の総合的な力を養うことを目的としている。
授業を担当するのは、宮本佳奈教諭。大学では言語学を専攻し、高校時代からの留学経験を通じて語学を生かした職業を志してきた。
越谷南高校での勤務は3年目。授業はほぼ100%英語で進行され、適宜ALT(外国語指導助手)とのチームティーチング(TT)を取り入れる。今日もそのスタイルだった。外国語科設置校の強みでALT2名が常駐しており、内容や進度などに応じて適切な授業体制を組むことができる。
授業の様子を見学してまず驚かされるのは、そのスピード感と英語の使用頻度の高さである。宮本教諭は、必要最低限の指示を除き、終始英語で授業を展開。生徒たちもそれを当然のように受け入れ、指示に対する反応も素早い。
まだ1年生の2学期という時期であるにもかかわらず、すでに英語での授業スタイルに完全に順応している様子がうかがえた。
授業は一斉講義型ではあるが、生徒同士のコミュニケーションは活発で、前後左右の生徒と英語で意見を交わす場面が頻繁に見られた。教師の話を一方的に聞く時間はほとんどなく、生徒たちは常に考え、発言し、反応している。まさに「生きた英語」が教室内を飛び交っていた。
この日の授業では、長文をスピーディーに読み進めることに重点が置かれていたようだ。文法や和訳に時間をかけるのではなく、内容を大まかに把握し、要点をつかむ力を養う構成だ。普通科の生徒であれば戸惑うようなテンポだが、英語に意欲的な外国語科の生徒たちにとっては、むしろ心地よいリズムなのだろう。
◆高いコミュニケーション能力
授業前後の休み時間に生徒たちへのインタビューを試みた。
驚いたのはその受け答えのスムーズさだ。英語でのやり取りもさることながら、日本語での表現力も高く、1年生とは思えないほどのコミュニケーション能力を感じた。もともとの資質に加え、入学後の徹底したトレーニングの成果が表れているのだろう。
越谷南高校は、武蔵野線「越谷レイクタウン駅」から徒歩5分という好立地にあり、毎年入試では高倍率を記録する人気校だ。
部活動加入率は93%と高く、文武両道を実践している。生徒の多くが大学進学を希望しており、特に都内私立大学への進学志向が強い。カリキュラムもそれに合わせた構成となっている。
外国語科の生徒たちは、将来語学を生かした進学や就職を目指しており、その第一歩としての授業が「総合英語Ⅰ」である。今回の授業を通して感じたのは、英語を「教わる」のではなく、「使う」ことを前提とした学びの姿勢が、教員と生徒の双方に根付いているということだ。
英語教育の在り方が問われる今、越谷南高校外国語科の取り組みは、文系教育の可能性を示す好例と言えるかもしれない。
英語を「教科」ではなく「言語」として扱う姿勢が、真のコミュニケーション力を育てている。
今後の彼らの成長が楽しみだ。

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