令和8年4月1日、埼玉県の新しい教育長に石川薫氏が就任した。
以前に小松弥生氏が教育長を務めたことがあり、これが埼玉県としては初の女性教育長だが、文部官僚出身なので教育現場のことはあまりご存知なかった。石川氏は「生え抜きの職員としては、女性初の教育長」(県知事会見より)となる。
大野知事は3月30日の定例記者会見において、石川氏登用の経緯について、次のように述べている。
朝日新聞「教育長に新たに石川薫さんが就任されます。新教育長は、これは生え抜きでは初めての女性と御説明があったかと思うのですが、(新教育長に)求めることであったり、期待されることについて伺います」
大野知事「以前、小松教育長が女性でしたけれども、生え抜きとしては、先ほどお話をさせていただいたとおり、初めての女性教育長ということになります。私は女性だからといって何か特殊なところがあるとは思ってはいませんけれども、ただこれまで埼玉県庁、教育局あるいは学校においても、大変尊敬を集めてきた方でありますし、特に県立学校部長などもお務めになられましたので、私学無償化とか変化の時期において、必要となる能力をお持ちだと思っています。そして実は、石川先生については現在、東京成徳大学深谷中学・高等学校の校長先生でありました。私も(教育長に就任するよう)口説いていいものかどうかというのは正直あったのですけれども、そういった経験があるので、また、今の中学・高校の校長先生をされていて、生徒さんにもいろいろな形で人間関係もあるとは思うのですが、何とか県全体をしっかりと見ていただきたいというお話を、それだけの人材であるからこそしたつもりであり、今回それに応えて教育長になってくれたというのはとてもありがたいと思っております。いずれにしても、性別は女性ですけれども、男性であろうが女性であろうが、やはりこの方だという、そういう趣旨で今回選ばせていただきました」
まあ、至極まともな質問と答えだ。
大野知事は、記者の質問に対し、「私学無償化とか変化の時期において、必要となる能力をお持ちだと思っています」と答えている。高校授業料の無償化により多くの地域で公立離れと言われる現象が現れ始めている。むろん埼玉県も例外ではない。公立離れをいかに食い止めるかは埼玉県教育委員会にとって極めて緊急かつ重要な課題であるとの認識を示した形だ。
それはいいが、こっちの記事は何だ。
「埼玉県立高校の共学化、新任の教育長「主体的に推進したい」…男女が協力する学校生活の意義強調」(4月11日 讀賣新聞オンライン)
「埼玉県の石川薫教育長「県立高共学化、主体的に推進する」」(4月11日 朝日新聞)
就任したばかりの石川教育長が記者団の取材に応じた、とある。
両紙とも、「共学化」、「主体的に推進」と見出しを打っている。
共学化を主体的に推進するとは、すでに決定済みの方針であるから、新教育長がこれと異なる方針を示すはずはなく、その通り述べたのだろう。
だから、わざわざ大げさに見出しを打つほどのことではない。
が、この話題はYahooにも取り上げられやすい。コメントもつきやすい。
ということで、教育長は他のことも発言しているし、記者たちも他の質問もしているはずだが、新聞やネットに出るのはこの話題、ということになる。
◆「ダイレクト・コミュニケーション」の時代
マスコミによる一方的な論調や、いわゆる「切り取り」に対抗し、行政や企業が自ら情報発信する「ダイレクト・コミュニケーション」は現代において不可欠な戦略となっている。
情報発信が多様化し、既存メディア(新聞、テレビなど)に頼らずとも、SNSやWebサイトを通じて直接ステークホルダーに情報を届けられる時代になったためだ。
今回の記事でも、読売新聞は「子供たちが安心して学べる環境作りのほか、教員の働き方改革なども課題として挙げた。教職員の不祥事が相次いでいることについては「特にわいせつ行為は断じて許せない。根絶に向けて取り組んでいきたい」と述べた」と書いているし、朝日新聞も「「学力向上や教員の働き方改革、不祥事の根絶に取り組みたい」などと述べた」と書いている。報道機関として最低限の節度は守っているのだ。
だが、全体像は分からない。
教育委員会も学校も、公立も私立も。自前の手段を持っているのだから、マスコミの報道の仕方に異論があるのなら、全文を(全体を)ダイレクトに発信すればいい。

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