次期学習指導要領に関連した話だが、最初に予防線を張っておこう。
自分は教育者ではない。まして教育課程やカリキュラムの専門家でもない。学校広報や生徒募集マーケティングを商売にし、そこで一儲けを企んでいる人間である。
したがって、次の学習指導要領の中身について専門的な評価を下すつもりはない。というより評価する力がない。
ただ、商売人には商売人なりの見方がある。
大きな制度変更がある。社会も変わる。顧客である子どもや保護者の意識も変わる。となれば、「その時になってから対応する」のでは遅いのではないか。
今日はそんな話である。
◆2032年は遠い未来ではない
次期指導要領は、小学校が2030年度、中学校が2031年度から全面実施、高校は2032年度から年次進行で実施される予定だ。
高校から見れば、あと5~6年ほどある。
「まだ5年ある」と考えることもできる。
だが、マーケティングの感覚からすれば、「5~6年準備できる」のである。
2032年度に高校へ入ってくる生徒は、2032年になって突然現れるわけではない。すでに今、小学校で学んでいる。
AIやSNS、デジタル機器に囲まれて育ち、小学校、中学校で新しい情報教育を経験した子どもたちが、やがて高校の門を叩く。そのとき高校側が、「さて、新学習指導要領に対応しましょう」では、いかにも遅い。
◆変わるのは授業だけではない
今回の改訂では、情報教育の強化が大きな柱の一つになる。
だが、ここで「情報科の先生は大変だ」で終わってはいけない。
これは学校全体の問題であり全教科の問題である。
生徒が情報を集める。真偽を確かめる。AIを使う。データを分析する。問いを立てる。自分の考えを発信する。
こうした力は情報科だけで育てるものではない。
国語でも、数学でも、社会でも、理科でも、英語でも、探究でも関わってくる。
となれば、高校が今やるべきことは、新しい時間割を作ることではない。
まず「わが校では今、どの授業で、どのような力を育てているのか」を棚卸ししてみることだろう。
◆5年間を「準備期間」から「実験期間」へ
この5年間はいわば「準備期間」なのであるが、ここは敢えて「実験期間」と考えてみよう。
生成AIを授業で使ってみる。
AIが出した答えを生徒に検証させる。
検索して終わりだった課題を見直す。
教科をまたいだ授業を試してみる。
生徒自身に情報発信をさせてみる。
すでに始めている部分もあるはずだが、これをさらに進化させる。
5年後を本番と考えれば、それまでは一つ試して、失敗したら修正するの繰り返しができる期間だ。
今日から始めて5~6年あれば、かなりの蓄積になる。
2031年度になって突然、「来年度から新指導要領なので校内研修を開きます」という学校はさすがにないだろうが、では「今日から全校あげて試行錯誤を始ます」という学校がどれだけあるかといえば、それほど多くはないだろう。だから今がチャンスだ。
◆これも立派な募集戦略
こうした取り組みは、教育改革であると同時に、立派な学校広報であり、生徒募集戦略になる。
と、商売人としては、ここが一番言いたい。
「新しい学習指導要領に対応しています」では弱い。
そんなものはいずれ全校が対応する。(一種の法律みたいなものだから)
重要なのは、その時点で「うちは5年前から取り組んできました」と言えることである。
さあ、今日から、情報活用能力を伸ばすためのわが校の取り組み(実践)をしっかり記録し、発信して行こう。これから5年間の生徒の変化、先生方の試行錯誤、授業の成果は、そのまま「学校の物語」になる。そして、「物語」が「ブランド」を作る。
制度が始まってから横並びでスタートするのではなく、制度が始まるまでの過程そのものをブランドにして行こう。

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