本日のお題は、県教委17日発表の「令和2年度 高等学校入学状況調査(速報)」である。
今年4月の高校入学状況が速報の形でまとめられている。昨年は8月1日か2日だったと記憶してるのでやや遅い発表となった。
本日はその中から、私立高校の入学状況について簡単に分析しておこう。
下の表は、学校規模別(募集人員別)の一覧表だ。
もとになる統計表(エクセルデータ)は、前掲の県教委HPからダウンロードできる。
充足率は(入学者÷募集人員)である。
100%を下回っていれば定員に満たなかった(定員割れ)ということだ。
100%を上回っている学校のうち、120%を超える学校は青のアミカケとなっている。
100%を下回っている学校のうち、90%未満の学校は赤のアミカケとなっている。
◆募集人員少ないほど苦戦する傾向
この数年データを追ってるが、募集人員の多い大規模校に比べ、募集人員の少ない小規模校ほど苦戦する傾向が見られる。
少ない人数を集めるのだから、それほど苦労はないだろうと思われがちだが、小規模校は少ない予算、少ないスタッフでの戦いを強いられるので、必ずしも簡単ではないというのが私の見立てだ。
もちろん他の要素もあるわけだが、そのような仮説を立て検証してみる。
なお、読者の方は先刻ご承知だが、100%に達していなくても、それを直ちに「人気の低下」や「募集の失敗」と断じるわけにはいかない。
定員超過が大き過ぎると、教育環境の悪化につながるのはもとより、教員スタッフの増員を迫られるし、さらには助成金カットといったペナルティが科せられることがある。そこで政策的に入学者数を抑制しているケースもある。仮に今年定員割れ状態であったとしても、それは前年あるいは前々年の入学者数が多かったための調整と見た方がいい場合がある。ということは、今年大きく定員超過となっている学校は、次年度は抑制にかかる可能性もあるということだ。
◆規模別の状況
学校規模はLL(募集人員650人以上)、L(同440~520人)、M(同320~400人)、S(同160~300人)、SS(100人以下)の5段階に分けてみた。別に決まった分け方があるわけではない。各階層の学校数が極端に違わないことだけ考えた。
特大サイズのLL校は4校あるが、超過が3校、定員割れが1校となっている。浦和学院のみ定員割れ状態だが、過去2年間大きく超過しているため抑制策をとった可能性がある。
大宮開成の137.2%は今期県下最高である。次年度はやや抑制に入る可能性がある。
大サイズのL校は11校あるが、超過が5校、定員割れが6校となっている。叡明も抑制策をとった可能性がある。本庄第一、西武台、西武文理の3校がかなり低めとなっている。
中サイズのM校は18校あるが、超過と定員割れはそれぞれ9校ずつとなっている。浦和麗明の130.3%は大宮開成に次ぐ高さだが、過去2年間はかなり入学者を絞ってきたのでキャパ的にはまだ余裕がありそうだ。
小サイズのS校は12校あるが(高校募集のない浦和明の星含む)、超過が5校、定員割れが7校となっている。秀明、開智未来、大妻嵐山が低めとなっている。
極小サイズのSS校は3校あるが、超過が1校、定員割れが2校となっている。定員割れ2校は共に音楽科のみの学校だ。
以上から、募集人員の少ない小規模校ほど募集に苦戦するという仮説は、ある程度確からしい。
◆西部地区私立が苦戦を強いられている
次に、東西南北4地域に分けて見てみる。
南部地区は14校あるが、超過が12校、定員割れが2校となっている。公立も合わせれば学校数が多いが、さいたま市・川口市といった大都市をかかえる有利さがある。主要鉄道路線の駅から徒歩で通える学校が多い。
西部地区は23校あるが、超過が6校、定員割れが17校となっている。川越市・所沢市といった中都市をかかえるが、公立も合わせると人口に対して学校数が多い。JR駅を最寄とする学校がほとんどなく、東武東上線、西武池袋線・同新宿線など私鉄利用となり、そこからさらにスクールバス利用の学校があるなど総じてアクセス面の不利がある。
東部地区は6校あるが、超過が2校、定員割れが4校となっている。ただし定員割れと言っても僅かであったり、政策的なものと考えられる学校もある。開智未来は歴史は浅いが教育内容や進学実績に見るべきものがある。アクセス面がネックになっているのは否めない。
北部地区は5校あるが、超過が3校、定員割れが2校となっている。早大本庄は別格として、4校中本庄第一のみが駅から徒歩が難しく、ここもアクセス面がネックになっている。北部には20万人を超える都市がないなど地域人口の減少も顕著だが、逆に言えばそうした中で各校健闘しているとも言える。
以上。簡単なレポートであった。
いずれ公立も調べてみよう。
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