今日は早めに寝ようかと思ったが、やはりもう一本書いておこう。
 今日の埼玉新聞の記事だ。

 なぜ?コロナでオンライン授業も扱いは「出席停止」 さいたま市教委「国が通知」 内申恐れる保護者も
 

 記事内容に概ね間違いはないと思われるが、問題は見出しだ。
 「内申恐れる保護者も」
 内申などこの世に存在しないのだが、それはまあよしとしよう。
 世間では相変わらず調査書のことを内申書と呼ぶ人がいるから、それに合わせたということだ。

 で、記者は、その「内申を恐れる保護者」に取材したのか。
 いや、そうではない。
 記事中には、こうある。

 以下引用。 
 さいたま市教職員組合(大沢博委員長)によると、保護者からオンライン授業の「出席停止」扱いについて、「やむなくオンラインで学ぶ子どもを出席停止とは納得できない」「中学生は出席扱いにならないなら内申に響くかもしれないと恐れ、登校させている家庭が少なくない」などと意見が寄せられている。
 以上引用終わり。

 なるほど、組合の委員長に聞いた話というわけか。
 しかし、新聞記者なら、きちんと裏を取らんとな。
 保護者の声を拾ってこないと。

 それと、組合の委員長。
 教職員だったら、出席停止の意味は分かってんだろう。
 出席停止は、身内の忌引きや、部活大会の公欠と同じで、早い話が出席扱いなのだ。
 それに、一昨日の本ブログ記事「コロナと欠席日数、念のため一言説明しておくという姿勢が大事」でも書いた通り、埼玉県の調査書には欠席日数とその理由を書く欄しかない。
 コロナ関連で出席停止になっても、欠席日数はゼロのままだ。
 誤解をしている保護者がいるなら、それを正すのが教職員の仕事だろう。
 新聞記者も素人なわけだから、「実は誤解なのだが」と注釈をつけて伝えないと。
 
 さらに言えば、そもそも、ここは組合の委員長を引っ張り出す場面ではない。
 市教委と市教組という取材の仕方が、この問題にはそぐわない。

 というわけで、こと高校入試については、直接的な不利益はないと、繰り返し言っておこう。
 
 ただし、オンラインによる授業進度の遅れ、理解の不足などの心配はある。
 また、オンライン授業を出席扱いとしないという考え方は、いかにも時代遅れである。
 在宅勤務は出勤扱いとしない。よって給料支給対象にはならないと言っているようなものではないか。
 これはこれで別に議論する必要がある。

 私立高校は、欠席日数を出願・推薦要件にしている場合があるが、以前にも書いたように、これも見直したほうがいい。

 まあ記者としては、または編集デスクとしては、「コロナ」「入試」「内申」といった語句を並べれば、読者の食いつきがよかろうという程度なのだろうが、見出しだけ見て、慌てる保護者がいるかもしれないので、学校や塾の先生方には、丁寧な説明を重ねてお願いする。

※追記(9月15日)
 埼玉新聞社・高校受験ナビに、この件に関する受験生向け記事を書きました。
 ”新型コロナウイルス感染での「出席停止」 調査書ではどう扱われる?”