予習は大事だよ。というわけで昨年に引き続き、第1回進路希望調査(10月1日現在)について書いておこう。
 昨年は10月5日に予習用記事を書き、調査結果は10月29日に発表された。今年もほぼ同時期となるだろう。
 

1 中学校卒業予定者数は増加
 今年は久しぶりに中学校卒業予定者数は増加に転じている。
 中学校卒業(予定)者数は前年より1614人多い6万2797人である。
 それに伴い、公立募集人員を前年より680人多い3万7120人とした。
 
 卒業者数が1614人増えたのに、募集人員は680人しか増やさないのはなぜか。
 受験生や保護者からはこんな質問も出てくるだろうが、そこはプロである塾の先生方からしっかり説明しておいてもらおう。
 具体的には18校で計720人増やすが、羽生実業ビジネス会計科が募集停止となるので、実質17校680人増である。
 詳しくはこちら。↓
 令和4年度 埼玉県公立高等学校第1学年、県立高等学校専攻科「第1学年及び県立中学校第1学年 生徒募集人員」
 
 18校のうち8校(上尾鷹の台・伊奈学園・桶川・春日部女子<普>・川越総合・熊谷西・志木・庄和)は前前年から前年にかけて40人減を実施した学校であるから、元に戻した形だ。
 募集人員増は、倍率低下の要因となり得るが、仮に受験者数が前年どおりだとしても、人気の高い越ヶ谷や朝霞・朝霞西・伊奈学園などは赤字(定員割れ)になることはない。
 前年に欠員補充を実施している大宮東<普>・桶川・庄和や、ぎりぎり1倍だった川越西・草加南・富士見などにとって40人増はかなり厳しい。
 受験生にとっては«楽勝»となるが、定員確保を目指す学校側としては厳しいということである。
 これらの学校の希望者数・倍率がどう出るかを注目しておこう。

2 高等学校等進学希望者数の割合は上昇するか
 前年第1回調査時点において、高等学校等進学希望者総数(具体的な希望校未定者含む)の割合は99.1%だった。
 前前年は99.2%であったことを考えると、この数字は大きく動くことはないだろう。
 
 なお、高等学校等とは、
 全日制
 定時制
 通信制
 高専・中等教育
 特別支援
 以上5つを含んだ言い方である。

 また、高等学校等に含まれないのは、
 専修学校等
 就職
 その他(未定など)
 以上3つだが、実人数で500人程度、割合では1%以下である。

3 全日制希望者は引き続き低下するか
 前年第1回調査時点において、高等学校等進学希望者数のうち、全日制希望者の割合は91.1%だった。
 全日制希望者の割合は低下傾向にある。

 定時制希望者の割合はあまり変わらないが、通信制の割合は少しずつ増えている。
 前年はこの時点で2.6%だった。
 果たして3%台に乗るかどうか。
 以前の通信制は消去法的に選ばれたものだが、最近は積極的に選ぶ生徒も増えている。
 「N高」は通信制の知名度向上にかなり貢献したのではないか。
 通信制に通うスポーツ選手の影響も大きい。

 通信制の割合増加が一過性のものなのか、トレンドなのか
 ここは注目点の一つだ。

4 県外(全日制)希望者は引き続き増加するか
 前年第1回調査時点において、県内希望者の割合は93.3%に対し、県外希望者の割合は6.7%だった。
 ほんの少しだが、県内が減り、県外が増えるという傾向が見られる。
 県外希望者の多くは都内私立である。
 大学入試改革の影響で、大学附属校志向が高まったと考えられている。

 大学入試改革も一段落したことだし、県外志向が高まる要素は今のところ見当たらない。
 よって、この数字は大きくは動かないだろう。
 
5 県内私立希望者はどこまで増えるか
 前年第1回調査時点において、公立希望者は76.4%、私立希望者は16.7%だった。
 公立が1.2ポイント減少したのに対し、私立が1.2ポイント増加した形だ。
 
 私立を選ぶ場合の学費面でのハードルが下がった。
 私立の大学進学実績が向上している。
 私立の方がオンライン授業対応が早かった。
 
 これらを総合すれば、今のところ、私立希望者が減少する理由は見つからない。
 県内私立希望者の割合は今年も増加すると考えられるが、問題はそれがどの程度かということだ。

6 倍率予想
 あくまでも第1回調査時点(10月1日現在)での倍率の予想である。第2回調査や実際の出願時の倍率の話ではない。
 2倍超えが予想される学校
 ▼東部地区
 越ヶ谷
 ▼西部地区
 川越南 市立川越(普)
 ▼南部地区
 上尾(普) 浦和西 大宮(普・理)
 市立浦和 川口市立(普・理)
 大宮北(普・理) 蕨(普)
 ▼北部地区
 なし
 
 例年の傾向から見て、これらがこの時点での高倍率校となるのはほぼ確実だ。
 学校選択問題採用校となった大宮北に注目。
 越ヶ谷は40人増で倍率はやや緩和されるが、高倍率は変わらずだろう。
 
 倍率の変化については3つのパターンがある。
 (1)第1回から第2回、実際の出願と徐々に低下する学校。
 (2)第1回から第2回、実際の出願と徐々に上昇する学校。
 (3)あまり変化のない学校。
 
 先に挙げた2倍超が予想される学校は、実際の出願に向けて確実に低下するパターンだ。
 その影響を受けて、ワンランク、ツーランク下の学校は徐々に上昇する。
 別学の伝統校(浦和・浦和一女・川越・川越女子・春日部・熊谷・熊谷女子)は、変化はするがそれほど極端に変わることはなく、第1回の倍率で概ね最終倍率が予測できる。
  
 以上。
 こうして予習しておくと、調査結果を見る場合の視点が定まる。
 あくまで私個人の視点なので、皆さんそれぞれ設定されればいいだろう。