やっぱりユーチューバーは人気だね。
 ベネッセ教育情報サイトというところに小学生がなりたい職業ランキングが出ていた。
 小学生が「小学生がなりたい職業ランキング2021」
 まあ小学生だから。
 別に労働の意味だの生きがいだの、そんなことはどうでもいいわけだ。
 ユーチューバー、芸能人、スポーツ選手。
 いいんじゃないの。

◆とりあえず第一声は「いいね!」
 子供が職業について何か口にしたら、とりあえず「いいね!」と言っておく。
 それがどんなに現実離れしたものであっても、第一声は「いいね!」。
 この一言がないと、子供の思考は前に進まない。
 
 が、大人はこの一言がなかなか出ない。
 特に親とか先生とか、子供の将来に責任を持たなければならない立場だと余計そうなる。
 どうしてもネガティブな一面を強調してしまうのだ。

 ユーチューバー?
 それで食っていけるのは、ほんの一部だけだ。
 今がピークで10年後にはなくなっている職業かもしれないぞ。

 芸能人?
 成功するのは、ほんの一部だけだ。
 華やかなのは表面だけで、裏はドロドロした世界だぞ。

 などと、ネガティブ情報を集中投下するのである。
 ユーチューバーにも芸能人にもなったことないくせして、よく分かるな。

 先生という職業にしたって、実際になってみないと分からない苦労があり、一方ではなって初めてわかる喜びがあるではないか。
 なのに、なってもいない職業の苦労や喜びを何で語れちゃうのよ。
 先生という仕事柄、やむを得ない部分もあるが、聞きかじりの知識だけで語ってしまうのは悪いクセだ。

◆知らないことは一緒に考える
 子供たちが失敗しないようにネガティブ情報も与えておく。
 その気持ちは分かる。

 だが、それが過剰となり、前に出過ぎると、子供の夢を破壊し、やる気をそいでしまう。
 もしかして本当にユーチューバーや芸能人として成功するかもしれないではないか。
 老婆心が才能の芽をつんでしまうかもしれないのだ。 
 
 子供がユーチューバーになりたいと言ったら。
 その夢を自分に置き換えてみればいい。
 自分がユーチューバーを目指すとしたら、まず何から始めるだろうか。
 どんなユーチューバーを目指すだろうか。
 今自分が持っている力をどう生かせばいいだろうか。
 成功するために何か欠けているものはないだろうか。
 その自問は、子供への質問でもある。
 
 知らないことは一緒に考えればいいのだ。

 子供たちが目指すゴールは、親自身の目指すゴールとは異なる。
 むろん先生が目指すゴールとも異なる。
 彼らは自分のゴールを自分自身で見つけなければならない。
 その後押しをするのが親や先生の役割だ。

 そういう関係性を作り出す、最初の一歩が「いいね!」ではないかと思うのである。