3月28日、文部科学省が全国学力・学習状況調査について、経年変化分析調査の結果を発表した。
今のところ、これを伝えるニュースは少ないが、毎日新聞の記事にあった。
「小中学生の学力、コロナ禍「影響なし」 文科省が全国学テ結果分析」
元のデータは国立教育政策研究所のサイトにあるので、詳しい情報が必要な方は、そちらをご覧いただこう。
比較は、平成28年度(2016)調査と令和3年度(2021)調査との間で行われた。
結果概要のみ紹介すると、次のとおりである。
1 国語については、小学校・中学校とも、学力スコア分布の状況は両年度間でほとんど変化は観察されず、国全体としてみれば、児童生徒の学力の低下や向上といった変化は認められなかった。
2 算数・数学については、令和3年度の学力スコア分布は基準である平成28年度の学力スコア分布の右側に(全体的にみて学力スコアが高い方へ)若干移動していることが観察できる。これについては、国全体でみれば、算数・数学について若干学力が向上しているとも解釈しうるが、次回(令和6年度予定)以降の結果もあわせて分析することが必要。
新聞見出しには「コロナ禍『影響なし』とあるが、私が読んだ限りでは、文科省報告書には「コロナ」という文字は登場しない。
つまり、コロナの影響があったともなかったとも言っていない。
記事中、「(文科省は)影響は確認できなかったとしている」とあるので、そのとおり見出しをつければ、「影響なし」ではなく、「影響確認できず」ではないかと思うが、インパクト強めに「影響なし」としたのだろう。
影響が確認できなかったのだから、「影響なし」でいいとして、それは学力面の話だ。
私が直接話を聞いた範囲でも、さしあたり学力低下を心配する声はほとんどなかった。
不十分とは言え、オンライン授業が行われたし、先生方もさまざま工夫をされた。
家庭の協力もあっただろうし、塾の支えもあっただろう。
だから、さしあたり心配するほどの学力低下がなかったというのは納得できる。
コロナの影響があったとしたら、むしろ学力面よりも、児童生徒の精神面だろう。
これは多くの先生が口をそろえて言っておられる。
学校は勉強する所だが、勉強だけする所ではないのだ。
子供たちは、マスク無しの素顔を見たことがなく、お互い顔が覚えられないなどという話も聞いたことがある。
まあ、それは極端な例だとしても、どこかよそよそしく、一歩踏み込んだ関係を築くのは難しかっただろう。
多くの学校行事が中止または不完全な形での実施となり、思い切り発散する場面も少なかった。
みんなで力を合わせて何かをやるという経験も少なかった。
こうした学力以外でのマイナスは、おそらく高校生よりも中学生、中学生より小学生という具合に、年齢が下がるほど大きいと思われる。
子供たちには、その学年、その年齢ごとに経験すべきことがある。
今度高校あるいは中学校に入学してくる生徒たちは、そういうものがスッポリ抜け落ちた形で入ってくる可能性が高い。
仮にコロナが終息したとしても、その影響はまだまだ続くということだ。
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