教育DXに関する最新ニュースを取り上げてみる。
 「ドーモ、埼玉県久喜市教育委員会の「データを活用した教育DX」の実証実験を支援」(時事ドットコムニュース)

 記事中にあるドーモ株式会社は、米国ユタ州に本拠を置くコンピュータソフトウェア会社「Domo,inc.」の日本法人である。
 そのドーモ社が、「ドーモ、埼玉県久喜市教育委員会の「データを活用した教育DX」の実証実験を支援」というマスコミ向けニュースリリースを発信している。
 上記、時事通信の記事は、同社のリリースをほぼそのまま記事にしている。
 多くのメディアが記事にしているが、概ねリリース通りである。

 要点をまとめると、次のとおりだが、出来れば元記事を当たってもらいたい。
 ●久喜市教育委員会は、「データを活用した教育DX」の実証実験を行っている。
 ●実験には久喜市立鷲宮中学校久喜市立砂原小学校の教職員及び児童生徒、839人が今年5月から参加している。
 ●実験にはクラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」が利用されている。
 ●Domoは、ローコード開発データアプリケーションプラットフォームを提供する。
 (ローコード開発は、特別な知識がなくてもデータアプリケーションが作成できるシステムのこと)
 ●児童生徒は「心身の健康状態」や「授業の感想」を入力している。
 ●教職員は「出退勤の時刻」や「心身の健康状態」を入力している。
 ●これらのデータをDomoの「管理職ダッシュボード」で一元管理する。
 ●これにより、管理職は教職員の心身の健康状態と授業運営の状況を把握し、必要な支援を素早く提供できるようにした。
 ●また、教職員は児童生徒の心身の健康状態や授業の理解度をリアルタイムに把握し、個別に支援できるようにした。
 ●実証実験を通して、久喜市はこれまで把握できなかった小さなサインを見逃さず、いち早く教育現場を支援できるようになったとしている。
 ●具体的には、一日3回配信されるレポートで教職員の心身の健康状態を確認できるため、学校管理職はモチベーションが大きく低下した教職員に素早く気付き、個別面談やメンタルヘルスケアなどの迅速な支援が可能になったという。

◆また新しい仕事が増えた
 この実証実験は、企業の側から見た場合、プロモーション活動の一環という意味合いがあるだろう。
 プロモーション活動とは、販売を促進するための活動のことである。
 もちろん、実際に運用してみることにより、自社が開発するBIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール)の精度を高めるという狙いもある。
 運用実績があった方が、各自治体や学校に売り込みやすい。

 久喜市としても、「子どもを育てるなら久喜市で 教育するなら久喜の学校で」のスローガンの下、「ALL KUKI 教育改革プロジェクト」を推進しているところであり、具体的な取り組みが求められているところである。

 どのような経緯で実験が決まり、なぜこの2校が選ばれたかは、外部から伺い知ることはできない。
 が、現場の先生方の中には、「また新しい仕事が増えた」と感じている人がいるかもしれない。
 今までのルーティンに、1年間の期限付きとは言え、実験が加わったのであるから、そう感じる先生がいても不思議ではない。

 しかし一方で、将来の学校はこういう方向に進まざるを得ないのも確かである。
 両校の先生方、児童生徒保護者の皆さんには大変だろうが頑張ってくださいと申し上げるしかない。

◆教育DXとはこういうことなのだ
 教育DXが良く分からない。
 ICT教育とどこが違うのだ。
 
 そのような方が大勢おられる。
 かく言う私も、それほど深く理解しているわけではない。

 ただ、ICT教育との違いははっきりしている。
 この事例において、端末はただの道具に過ぎない。
 データを収集し、分析し、可視化することで、指導の個別最適化を図る。
 また、業務や働き方の改革を通じて、新たな学校像を創り上げる。
 どうやら教育DXとは、このことであるらしい。