埼玉県産業教育フェアに行ってきた。今年で29回目。ということは私がまだ現役教員だったに始まった計算だが、知らなかった。このフェアは専門高校生によるフェスティバル(お祭り)なので普通科高校勤務であった私には縁がなかったということだ。
おそらく塾の先生方も、生徒募集イベントではないのでご存知ない方がほとんどだろう。それでよろしい。
記事を書かせてもらっている中学生向け入試情報紙「よみうり進学メディア」が年1回、専門学科特集を組んでいることもあり、私は、毎年最低4校は専門高校を訪問している。埼玉県内で未だ足を踏み入れたことのない専門高校は残り3校。狭山経済・皆野・児玉白楊。
結構、専門高校通なのである。
ただし、入試情報業界(受験業界)では、私立高校や公立難関校について詳しい人が重用されており、自称専門学校通の私などは「ドサ回り」と見られているわけである。
(「ドサ回り」というのは、差別用語・放送禁止用語かもしれないので、「地方巡業」などと読み替えていただいた方がいいかもしれない)
2年前の産業教育フェアで、誠和福祉高校のコーナーに立ち寄ったときのことだ。
なにげに展示を見ていたところ、女子生徒が「ご説明しましょうか」と声をかけてきた。不愛想なオッサンに声をかけてくるなんて勇気あるな。
実はこの学校には何度か行っていてそれなりの知識はあったわけだが、せっかくだから「では、お願いします」と言うと、彼女は福祉という仕事の意義、学校の素晴らしさ、先生方への感謝などを熱く語った。
いい子だな。将来介護される身になったときはこんな子にお世話されたい。そう思った。
で、一通り説明を聞き終わった後、私は言った。「実はこういう仕事をしているんで、今度あなたの学校に取材に行かせてもらいます。あなたの話を聞いて、どうしても行きたくなった」。彼女は、「有難うございます。後輩たちも喜ぶと思います」と嬉しそう。ますますいい子だ。
翌年学校に取材に行き、担当の先生にきっかけとなったこのエピソードを紹介すると、「ああ、それは〇〇さんですね。彼女はこの春卒業して〇〇に就職しましたが、勤務先でも評判なんですよ」と、すぐに分かってくれた。
やっぱり、そういう子だったんだ。
(注)この一件は、旧ブログ「梅野弘之の先生応援ブログ」で2回ほど書いている。
つまり、いるんですよ、こういう子が。
自分の適性とか興味とかが、学校の教育内容とドンピシャはまっちゃった子が専門高校にはいる。
普通科でボケーっと3年間過ごすより、断然いい。
ということで、つい最近、埼玉新聞に「専門学科という選択」という記事を書かせてもらった(10月28日付)。
大人になってから大慌てで資格を取ろうとする人がたくさんいるが、専門高校生は18歳にして資格と技術を身につけている。それは未来を切り拓くための武器になるんです。専門高校に行くと将来が限定されるというけれど、むしろ逆で、武器を手にした人の方が可能性は広がるかもしれませんよ。専門高校という選択も考えてみましょうね。
そういう内容だ。
埼玉県産業教育フェアは明日10日(日)も開催される。
本日は開会式に続き、越谷総合技術高校服飾デザイン科の生徒によるファッションショーが行われた。
2019-11-10 at 14:40
以前、とある高校の食育関係の学科に進学した生徒さんがいました。
その子は、どうしてもその学校に進みたいと、中3の初めから話していたのですが、私には少し逃げに思えていました。
最後の最後の面談まで「本当にそこでいいの?」と聞くと、ちょっと不愛想気味に「はい」というので、何となく心配なままおくりだしました。
それから月日がたち、先日その生徒さんのお母様からお話を聞く機会がありました。
「とっても頑張っています」と。
「中学の時とは違って、やりたいことができるので、頑張っているようです」とのお話でした。
その話を聞いて、安心するとともに、何となく恥ずかしい気持ちになりました。
普通科という選択肢を一番に考えがちですが、梅野先生がおっしゃる通り、「そこにはまる子がいる」という視点を忘れないようにしなくてはいけないと思いました。
常々生徒さんには「自分だけの武器を持て」と話していますが、専門学科だからこそ手に入れられる武器もありますしね。
長々と失礼をいたしました。