今日は地味なニュースの二本立て、である。
 1本は、2学期始業式の校長講話まとめ。
 そして、もう1本はこの記事で、文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」である。

 文部科学省の打ち出す政策なんぞ興味がないという方もおられるだろうが、彼らは実質的に法律を変える権限を持っているし、財務省ほどではないが予算を付けたり、削ったりも出来るわけで、良くも悪くも日本の教育の方向性を決定づける力を有しているのである。
 だから、公教育であれ民間教育であれ、あるいは公立であれ私立であれ、高校教育に何らかの関係がある方は、一応目を通しておいたほうがいいと思うのである。

 文部科学省サイトの当該ページはこちら。
高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめについて
 
 中間まとめの全文に直接行きたい方はこちら。
高等学校教育の在り方ワーキンググループ 中間まとめ(8月31日)
 全文(本文)はA4版27ページである。
 頑張って読めないボリュームではない。

 時間節約を図りたい方はこちら。
 A4版横で10ページ。
高等学校教育の在り方ワーキンググループ 中間まとめ 概要
 
◆ワーキンググループの論点
 委員は15人いて、その3分の1は高校教育関係者である。
 埼玉県関係では、この3月まで県立大宮工業高校校長だった清水雅己先生(現在の肩書は学校法人九里学園学園本部企画運営課参事)の名前も見える。

 議論されたのは、大きく次の3点である。
1 少子化が加速する地域における高校教育の在り方
2 全日制・定時制・通信制の望ましい在り方
3 社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進

 あくまでも私の場合はということだが、「1少子化が加速する・・・」の部分は、さらっと目を通すにとどめた。
 首都圏で活動する者にとって緊急の課題ではない。

 「2全日制・定時制・通信制・・・」の部分は、多少注意を払いながら、しかし軽く読んだ。
 ただ、ちょっと引っかかったのは、次の記述か。
 「高等学校入学者選抜についても、在籍する学校における出席の状況のみをもって不利益な取扱い(例えば、欠席日数のみをもって出願を制限する等)を行わず、不登校経験を有する生徒の高等学校で学ぶ意欲・能力を適切に評価するよう実施者に対して配慮を促すべきである」 

 公立は問題ないが、一部の私立では出願条件、推薦基準などに欠席日数が含まれるいるので、これが不利益な取り扱い或いは差別と言われないか心配だ。

 「3社会に開かれた・・・」については熟読した。
 現状・課題認識として次のような記述がある。
「文理横断型の教育が求められる中、約3分の2の高校は文理のコース分けを実施し、特定の教科を十分に学習しない傾向」。
 これは大学入試から変えてもらわないと高校だけでは如何ともしがたい問題である。
 したがって、具体策として「人文・社会科学系における理系科目や、自然科学系における文系科目の設定といった、大学入学者選抜における出題科目の見直し等も促進」をあげている。

◆これからのコース、カリキュラム編成
 以下、タイトルだけにとどめるが、次のような記述もある。
 「国際的な教育を行う高等学校の整備推進・運営支援」
 「理数系教育の更なる充実」
 「産業界等と専門高校の連携・協働の強化」

 上の2つは普通科に関すること、最後の一つは専門高校(専門学科)に関すること。
 これらについては現段階でもかなり進んでいる学校もある。
 が、これらを一層推進させる必要があるということだ。

 生徒募集という観点から見れば、「国際教育や理数教育を掲げる一方、文理融合型を推進する」ようなコース・クラス設定、カリキュラム編成が求められるということになろう。