将来は国連で働きたいという若者がやって来た。世界の平和に貢献したい。大学では国際関係論を学びたい。そうか、そいつはいい。
 本当のところ、国連が平和を維持する機能を持っているかどうか怪しいものだが、若者の夢を壊さないほうがいいから、とりあえず「頑張れよ」とは言ってやる。

 国連憲章を改訂して日本に対する「旧敵国条項」を廃してほしいね。そもそも「連合国軍=United Nations」がそのまま「国連=United Nations」になっているから、日本が敵国なのは仕方ないのだが、世界平和を謳うなら「連合国軍」という名前をかえてくれ。
 国際連合をぶっ壊す!

 北朝鮮が入っているのに、なぜ台湾を入れないんだ。
 国際連合をぶっ壊す!

 常任理事国って何だよ。拒否権って何だよ。大国中心主義じゃないか。不平等だろう。
 国際連合をぶっ壊す!

 旧敵国で常任理事国でもない日本が、なんで運営資金の分担率が高いんだよ。分担金滞納してる国は多いけど、日本は滞納してないからな。
 国際連合をぶっ壊す!

 とまあ、突っ込みどころ満載の国連なのだが、若者にそれを言っても始まらない。私個人の意見なわけだし、それを押し付けるのは良くない。
 せっかく興味を持ったんだ。興味を持ったことはもっと調べてみよう。その手伝いをしよう。これが進路指導というやつだ。
 「どんな理由でできたんだろうね」
 「どんな役割を果たしてきたんだろうね」 
 「メリットは何で、デメリットは何なんだろうね」
 次々に質問。質問の雨あられ。

 別に国連じゃなくてもいいんだ。これはたまたまの話だ。
 金儲けして贅沢な暮しをしたいとか、公務員になって安定した生活を送りたいというのも、もちろん貧しい人を救いたいとか、弱い人を助けたいというのも、とりあえず受け入れる。
 で、これはどうなの? ここはどうするの?と尋ねる。考えさせる。これが進路指導の真髄だよ。

 だから私はそんな学校やめとけとは言わない。