男子マラソンの川内優輝選手、ドーハ世界陸上で予想通りの惨敗。2時間17分59秒で29位だった。暑さが苦手というが、気候の問題ではなくこれが今の実力。
最初に言っておくが、私は彼を応援している。春日部東高校出身で、この3月までは埼玉県職員として久喜高校定時制勤務ということであれば、埼玉県民として応援しない理由はない。市民マラソンにゲストランナーとしてやって来るが、握手してくれ、写真撮らせてくれのリクエストにも嫌な顔一つ見せず応じてくれるから、市民ランナーの一人としても好感を抱いている。
彼は今、マラソンで飯を食うプロランナーということになっているが、現段階では真のプロにはなっておらず、頭の中は公務員から抜け切れていない。意地悪な言い方をすればマラソン好きのフリーターにとどまっていると思うのだが、プロになってまだ半年であるから、少し長い目で見てあげることにしよう。
川内優輝選手が真のプロになるために必要なこと。
1 過去との決別
彼のフルマラソン出場回数は間もなく100回に達する。自身は「百戦錬磨」と言っているが、そのほとんどがアマチュアとしてのものであり、プロとしては初心者なのである。たしかに豊富なレース経験は財産ではあるが、それは一旦リセットしてプロ1年生という自覚を持ったほうがいい。
2 人を食わせるために走る
アマチュアなら、好きだから走る、自分のために走る、そこまででいい。対してプロは金のために走る。人に問われた場合は、皆さんに喜ばれるように走るとか、楽しんでもらえるような走りをするという答えでいいが、それは、そのほうが金になるからであって、目的は金である。私も経験者だから分かるが、公務員をやっていると、まずこのような意識を持つことはない。
彼は言う。「全国の市民レースに出たい。旅行は好きだし」。前半はともかく、後半はアマチュア市民ランナー的発想だ。また、プロならば本音として「全国の(金になる)レースに出たい」でなければならない。走って稼いで家族を養い、周りのスタッフを食わせる。これがプロだ。
3 自身の商品化
公務員ランナーは希少価値であるが、世界にはプロランナーがいくらでもいるから、その中で自らの商品価値を作り上げて行かなければならない。当面は元公務員ランナーで乗り切れるが、賞味期限切れは意外と早くやってくる。
4 自身への投資
商品価値を維持し、あるいは高めるには投資をしなければならない。記録向上を目指すならプロコーチを雇うべきだろう。プロゴルファーやテニスプレイヤーだってコーチの指導を受けている。独学や自己流には限界がある。理想は世界を知る外国人プロコーチだ。トレーナーやマネージャーもいた方がいいだろう。自分で何でもやるのはアマチュア、人を使うのがプロである。
と、偉そうなことを書いたが、さっき川内優輝選手がゲストでやって来るという理由で、大会エントリーしてしまったよ。
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