質問力シリーズ第二弾。反論より質問の方が有効な場合があるという話である。私は、かつてはそうであったが、今は組織人ではなく、上司と部下とか同僚や仲間とかいう面倒な人間関係がない。
 実に気楽なものである。社内で会議をやることもない。会議はすべて自分の頭の中でやる。

 そんな私でも、社外の人々と組んで仕事をすることは多い。と言うか、それが全てである。すると、そこにやはり意見の対立というものが生じるわけである。

 相手の意見に、なるほど、そっちの方がいいやと素直に納得できる場合もあるが、いや、そうじゃないだろうとか、明らかに違っているよなと思う場合もある。
 そんな時、即座に反撃するより、質問によって相手の考えを修正させたり、こちらの考えに近づけたりするという方法がある。
 別に戦いをしているわけではないのだから、即座に反撃しないと命取りということもあるまい。
 
 反撃すれば相手は防御するか、または反撃する。するとこちらもまた防御し反撃するので、このような話し合いは物別れに終わり、何も生み出さない。そもそも何かを生み出すために話し合い、会議を催しているのであるから、実にもったいないことである。

 はいはい、あなたの仰ることはだいたい分かりました。そこでちょっと質問なんですが、この部分の根拠となる数字をもう少し詳しく教えてもらえると助かるんですが。あっ、そうですか、詳細データはない。では、それは今度ということで。では、参考になる事例をもう一つ二つ挙げていただくことはできますか。時間がなかった。そうですか。そうですよね。初の試みですから、そんなにないかもしれませんね。まあ、分かったら教えてください。

 ちょっと厭味ったらしい言い方になっているが、要は相手が「まずい。もうちょっと調べたほうが良かったかな」と素直に思ってくれればいい。

 ところが、これを反撃調でやると、こんな感じになる。
 言ってること分からんな。根拠示せよ。数字で言えよ。ちゃんと調べてんのかよ。似たようなケースあるだろ。時間がねえとか言い訳してんじゃないぞ。ちゃんとやれよ。

 まあ、こうなると相手の反応もほぼ予想できるね。

 たぶん、学校や塾の先生方も、問うことによって気づかせるという方法はよく使っていると思う。
 なんで遅刻したんだ。
 「ちょっと寝過ごしちゃって…」
 なにやってたんだ。
 「ゲームとかやり過ぎちゃって…」
 どのくらい。
 「4,5時間とか…」
 長くねえか。
 「はい、ちょっと」

 なぜ? どうして? と質問を浴びせると子供は結構自分自身で正解を出すものだ。