こんなにワールドカップが盛り上がっているのに、まだラグビー話を一度もしていなかった。ここらで一回やっておくか。
 高校時代、体育の授業にラグビーがあった。校内ラグビー大会なんてものもあった。3年生のくせに本気で優勝を目指し、実際そうなった。対戦相手の下級生の教室に行き、「今日の試合、こっちはマジで行くからお前らもその気でぶつかって来い。そうじゃないと怪我するからな」とプレッシャーをかけたりもした。怪我が恐いのは、受験間近のテメエらの方なのに。

 そんなわけで、ルールは一通りマスターしている。私のポジションはナンバーエイト。日本代表では姫野和樹選手が担当しているポジションだ。スクラム最後尾に位置し、マイボールではフッカーから送られてきたボールをキープし、スクラムハーフの仕事を助ける。そして時には自らボールを持ってサイドアタックを仕掛ける。

 授業では、タックルは足元を狙えと教えられた。理屈は分かる。腰から上のタックルでは相手を仕留めることはできない。でもね、止まってるならいいが、相手は走ってるんだよ。下手したら相手の膝とか踵が顔面直撃するじゃないか。そんな怖ろしいこと出来るかよ。格闘技は苦手だ。
 あの楕円形のボールも一筋縄ではいかない。投げるのも捕るのも難しい。一体誰が発明したんだ。でもまあ、それがラグビーの面白さにつながっているんだろう。

 同世代に宿澤広朗(しゅくざわ・ひろあき)という選手がいた。学年は私より一つ上で、県立熊谷高校から早稲田大学に進んだ。身長は160㎝ぐらいでスクラムハーフだった。日本代表にも選ばれたし、日本代表監督も務めた。引退後は住友銀行(現・三井住友銀行)で執行役員にまで昇りつめた文武両道の人だったが、2006年、55歳の若さで亡くなった。
 私より2学年下に松尾雄二選手、ほぼ一回り下に平尾誠二選手などスター選手がいるが、私の中でのヒーローはやはり埼玉県出身の宿澤選手だ。

 ワールドカップ、10月20日の南アフリカ戦。この日は、3年前、53歳で亡くなった平尾誠二選手の命日にあたる。

 わが母校は全国高校選手権埼玉県予選に第一シードで臨んでおり、6年ぶりの花園を目指す。決勝まで進んだら応援に行こうか。

 以上、今が旬のラグビー話であった。