オンライン授業に壁 県教育長『申し訳ない
 これ、4月18日付埼玉新聞の記事。埼玉県教育長の定例記者会見の内容を伝えるものだが、他のネット記事に比べ、地元紙らしく一番詳しいので紹介しておこう。

=以下、記事引用=
 高田直芳教育長は17日の定例会見で、オンライン授業について、家庭の設備状況や通信料負担、学校側の通信状況の未整備などの問題があるとした上で、「県立学校では、双方向のオンライン授業をできる技術的な状況まで至っていない」と説明した。オンライン授業の導入が進む私立高校や塾に通う生徒とそうでない生徒の差が生じることについては「児童生徒に申し訳ない。紙ベースや電話での問い合わせや、登校日の指導で対応せざるを得ない」と陳謝した。
 休校中の家庭学習は教材を郵送したり、学校ホームページで課題を配布するなどして対応している。県立学校139校のうち、26校では授業を動画で配信しており、51校は動画授業導入を検討。PCやスマートフォンなどの端末がないか、通信料負担を理由に視聴できない生徒は登校日に学校で視聴、またはDVDの配布によって対応している。
 高田教育長は県立高校の約半数がビデオ授業を導入する予定がないことについて、県総合教育センター(行田)の職員を派遣するなどして導入を支援すると説明した(伊藤明日香)
=以上、記事引用おわり(太字は筆者による)=

◆記事は有難かったが、見出しがどうも…
 ちょうど県立学校のオンライン授業対応について調べようと思っていたところだから、助かった。ただ、「申し訳ない」という見出しはどうなんだろう。記事本文にも「陳謝した」とある。そんなに謝らせたいか。ポイントはそこじゃないでしょう。
 今このタイミングで謝られたって、どうしようもないし、それに高田教育長だって4月1日に就任したばかりで、まだ2週間しか経っていない。
 ちなみに他紙だと、見出しはこんな感じ。
授業動画配信、県立高の55%対応 埼玉県教委」(日本経済新聞)
高田教育長 休校中の学校間の格差なくす努力を」(テレ玉ニュース)
 記事中にも陳謝も申し訳ないも、見当たらない。

 なお、高田教育長が最後に校長を務めた浦和一女では、「Google Classroom」を利用して課題や動画等を配信するということだ。

◆公立高校のオンライン授業対応
 いくつかの学校について、オンライン授業への対応を調べてみた。各校ホームページを閲覧した結果、「Google Classroom」などにより映像授業を配信しているか、またその準備をしているかという観点である。

「本校では休校期間中の御子息の 生活リズムの維持と 学習を支援するにあたり、以下の通り、オンライン上でのショートホームルーム及び教材配布を行うこととなりました」(4/13 県立浦和高校
「休業中の学習の補助として、一部教科においてスマートフォン等の情報端末を活用した学習に取り組みたいと考えております」(4/13 県立川越高校
「休業中における学力保証の観点から、Google Classroomを活用した課題配信等に取り組むことにし、先日の登校日の際に御子様にGoogle Classroomの登録をしていただきました」(4/16 不動岡高校
「学習機会の保証の観点から、スマートフォン等の情報端末を活用した学習を取り入れたいと考えております」(4/10 川越女子高校
「本校では臨時休業中の学習支援用のツールとして、Google Classroomを導入することにしました」(4/16 熊谷女子高校
「教員と生徒間の双方向連絡手段として、試行的に「 Google Classroom 」を導入 します 。これを用いて①動画配信②課題設定③課題提出などができるように整備しております」(4/16 川口北高校
「今後臨時休業が続く場合、学習支援のためにオンラインでの連絡、課題の配布・提出を行なうことを検討しております。つきましては、御家庭のインターネット利用環境について調査を行ないたいと思います」(4/14 蕨高校
「今後、グーグルのアプリによる学習支援を行う予定です。それに伴い、生徒の皆さんにグーグルアカウントを郵送します」(4/13 伊奈学園総合高校

◆私立高校では全授業オンライン化の動きも
 たしかに、こうしてみると公立高校の出遅れ感は否めない。送り手側である学校と、受けて側である家庭、双方の環境整備や、通信費負担などを考えると、まだまだ時間はかかりそうだ。
 ここで少しばかり公立高校を擁護しておくと、各学校に相当程度の自由度を与えれば、私立や塾に負けないくらいの対応ができる学校もある。ただ、公立学校の場合、全体を見渡した上で、いささかの不公平もあってはならないという鉄板ルールが存在するわけで、県の判断を待たなければ実行できないことも多い。

 その点、私立や塾は早かった。政治家がよく使う「スピード感」ってやつだ。時間があれば、一つひとつ紹介したところだが、今日のところは一校に止めておこう。
 栄東高校の例だ。
「お知らせしているとおり、4月20 日(月)から本校教員によるオンライン授業を時間割に沿って開始いたします。オンライン授業に伴うマニュアル、教科書・教材につきましては、4月16日(木)に各ご家庭に発送を完了しております」
 直接取材したわけではないので、不明な点も多いが、この文面をそのまま受け取れば、ふだん通りの授業をそのままオンラインで発信するということだ。

 追加。
 あちこちホームページを見ているうちに、先生方がオンラインで授業にどのように取り組んでいるかが分かるページが見つかった。
 昌平高校のホームページへ
 ここから保体の先生演じる体操動画に飛べるようになっている(限定公開のYouTube)。この学校の生徒数に対し視聴回数がまだ少ないので高評価ボタン押しといた。

 花咲徳栄高校ホームページに、陸上競技部のニュースがあり、ここから部員たちによる練習動画、というか日常動画に飛ぶわけだが、やっぱり動画のセンスはこの世代にはかなわんね。それと彼ら彼女らの身体能力。トレーニング真似ようと思っても一つもできない。