今はそれどころではない。そう言われるのを覚悟でポストコロナの話をしよう。いつになるか分からないが、いずれ終わりはやってくる。ただ、それが半年後なのか、1年後なのか、あるいはもっと先なのかが分からない。

 終息時期は分からないが、はっきりしているのは終息後の学校や塾を取り巻く状況(横文字使えば「教育シーン」)が大きく変わっているだろうということだ。いや、すでに変わり始めている。
 そう。オンライン授業だ。

 すでに前々から取り組んできた学校・塾がある一方、予算その他さまざまな理由から消極的だった学校・塾も多い。だが今回、否応なく取り組まざるを得ない状況が生じた。一種の外圧だ。
 そして世の中はこういうときに一気に変わる。非常識が常識になり、異常が正常となり、特殊が普遍となる。

 すべてが収まった後、つまりポストコロナの時代は、オンライン授業が主役になる。そこまで行かないとしても、準主役か、または欠かすことのできない重要な脇役(バイプレーヤー)となる。もう、オンライン授業を欠いた学習指導は成立しない。

 今回は付け焼き刃かもしれない。やっつけ仕事かもしれない。おそらく数年後には、「当時はあれでもオンライン授業って呼んでたんだよね」と笑い話になっていることだろう。
 それでもこの経験は大きい。
 実際にやってみれば、オンライン授業の長所も短所も、可能性も限界も、身をもって知ることになるだろう。これが、ポストコロナの時代に生かされるのだ。特に大きいのは、一部の先生によるものではなく、全校・全塾的取り組みとなっている点だ。

 細かい話になるが、台風や大雪やインフルエンザの流行などの際は、休校・休塾しようか、その場合振替授業はどうしようかとギリギリまで悩んだと思うが、これからはどうってことはない。サッサとオンライン授業に切り替えればいい。生徒の方も慣れたものだ。学校の場合、単位認定がからんでくるので難しい面もあるが、塾なら苦も無くできる。

 すでにオンライン家庭教師みたいなものがあるが、今後は本格的オンライン塾も登場するだろう。通信制高校の塾バージョンだ。
 教室を持たない塾もありになる(もしかしたら、私でも塾が開ける。やらないけど)。
 最終的には教える側の指導力、コミュニケーション力、教材力の勝負になるのは従前どおりだが、「教え方」のスタイル(型)は、ポストコロナの時代に大きく変わるだろう。

 そう考えると、この期に及んで従来型の対面授業に固執する塾は、この先大丈夫だろうかと心配になるが、まあ余計なお世話というものだ。