小学校に教科担任制を導入。というニュースを新聞各紙等が流していた。まあ記事を読めば概ね理解できるがニュースは元を当たれがモットーだから、ネタの在りかを探してみる。
 文部科学省だけではないが役所のWEBサイトは慣れないと目的地にたどり着くのが難しい。
 で、たぶんこれだろうというのが「中教審答申案の作成に向けた骨子(案)」というやつだ。日付と内容から、これがソースということでいいだろう。

 主題なのか副題なのか分からないが、こんなタイトルがついている。
 「誰一人取り残すことのない「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~多様な子供たちの資質・能力を育成するための,個別最適な学びと,社会とつながる協働的な学びの実現~」
 長っ!
 もっと短く言わんか。

 本文も長いぞ。A4版58ページ。
 なので、関係しそうな部分だけ、下にコピペしておこう。

 -以下引用- ※太字は筆者(私)
 また,多様な子供たち一人一人の資質・能力の育成に向けた個別最適な学びを実現する観点からは,GIGA スクール構想による「1人1台端末」環境下での ICT の効果的な活用と相俟って,個々の児童生徒の学習状況を把握し,教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする教科担任制の導入により,授業の質の向上を図り,児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上学びの高度化を図ることが重要である。
 ○ さらに,小学校における教科担任制の導入は,教師の持ちコマ数の軽減授業準備の効率化により,学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資するものである。
 ○ これらのことを踏まえ,小学校高学年からの教科担任制を(令和4(2022)年度を目途に)本格的に導入する必要がある。
 ○ 導入に当たっては,地域の実情に応じて多様な実践が行われている現状も考慮しつつ,専科指導の対象とすべき教科や学校規模(学級数)・地理的条件に着目した教育環境の違いを踏まえ,義務教育9年間を見通した効果的な指導体制の在り方を検討する必要がある。また,義務教育学校化や広域・複数校による小中一貫教育の導入を含めた小中学校の連携を促進する必要がある。
 ○ 専科指導の対象とすべき教科については,系統的な学びの重要性,教科指導の専門性といった観点から検討する必要があるが,グローバル化の進展や STEAM 教育の充実・強化に向けた社会的要請の高まりを踏まえれば,例えば,外国語・理科・算数を対象とすることが考えられる。当該教科の専科指導の専門性の担保方策や専門性を有する人材確保方策と併せ,教科担任制の導入に必要な教員定数の確保に向けた検討の具体化を図る必要がある。
 ―以上、引用終わり―

 要約すると。
 1 2022年度を目途に本格導入する。
 2 授業の質を高め、児童の理解度・定着度を高め、学びの高度化を図るためである。
 3 教員の持ちコマ数が減り、授業の準備も楽になり、教員の負担軽減にもつながる。
 4 対象教科は外国語、理科、算数である。
 と、こんなまとめでよろしいか。

 高学年からとことわっているから、まあいいんじゃないか。
 高校教員経験者である私は小学校教育には疎いが、低学年は教科指導より生活指導が大事という面もあるから、その意味でまあいいだろう。

 問題点・課題は?
 これも書いてある。
 1 指導の専門性をどう担保するか。
 2 専門性を持った人材をどう確保するか。
 3 教員定数をどう確保するか。
 
 専門性を持った人材を確保できれば、指導の専門性は担保できるはずだから、要は人材育成だ。
 そうすると教員養成に関わってくるのではないか。免許制度も変える必要があるのではないか。
 だが、そもそも教員志望者が減少している中で、専門性を持った教員が確保できるのかどうか。
 また、教員定数を増やさないと実現できないはずだが、人件費(予算)が取れるのか。教員数は今でも十分とは言えないのに。

 という中で、2年後に本格導入となれば、とりあえず現有勢力で戦えということになるだろう。
 で、その一方で働き方改革を進めろというんだから、一体どうすりゃいいのというのが現場の声ではないかと想像する。