私は結構長いこと、国語作文の書き方というのを語っている。下の写真は2011年か2012年あたりだが、国語作文の話はそれより前から講演会などでやっている。
 言葉は下品だが、「10年前なら金になった」ということだ。
 しかし、今はもう無理だろう。
 いろんな人が分析研究して、点数の取り方がすっかりばれてしまった。
 前年度(令和2年度)入試で、作文の配点が減ったのは、そういう事情もあるかもしれない。
 

◆前年度入試における変更点
 1)配点が16点から12点に減った。
 2)指定行数が減った。
  「13行以上15行以内」
  →「11行以上13行以内」
 3)段落構成を指定した。
  「二段落構成」
 その他の条件は従来と同じ。

◆作文は易しくなったのか
 採点の仕方は「採点の手引き」という形で公表されているが、具体的な基準は各校で検討される。
 早い話、辛く採点する学校と、甘く採点する学校があるということだ。
 上位校は辛く、学力レベルが下がるほど甘くなるだろうと想像できる。

 学校ごと採点基準が異なることを前提として前年度の正答率等を見て行く。
 正答率(つまり満点)10.9%
 一部正答率     83.5%
 誤答         2.4%        
 無答(つまり白紙) 3.1%
 通過率       61.2%

 正答率は過去2年間9%台だったので若干高かった。
 一部正答率、つまり何点かはもらえた人の割合は過去2年間よりやや低かった。
 誤答、つまり書いたが点数を取れなかった人の割合は前年よりは高かったが、前前年よりは低かった。
 無答の割合は前年より低かったが、前前年よりは高かった。
 通過率は過去2年間より低かった。

 書くべき行数が少なく、段落構成も指定され迷うことがなくなったので、「書きやすくなった」と思われるが、各段に点数が取りやすくなったかというと、そこまでは言えない。
 減ったとは言え12点は大量点であるから、引き続き国語における重要ポイントではあるだろう。

◆適正時間配分は何分か
 点数によって問題に取り組む時間を割り振るという考え方に立てば、16点の時代は16/100であるから、50分の16%、すなわち8分ということになる。
 では12点になったらどうか。50分の12%、すなわち6分となる。
 私は何度か作文講座なるものを実施したが、200字以上の作文を書くとなると、どんなに早い子でも6分や7分はかかった。
 指定行数が2行減ったとしても、それで1分も2分も短縮できるわけではないので、かかる時間は今までと変わらず、配点だけが減ったのが今回の変更と言えそうだ。

 ここ2年間、大問2にまとまった文量を読ませる問題が加わったこともあり、作文にかける時間をこれ以上増やすことはできない。
 引き続き、短時間で高得点を取れる作文を書けるよう練習する必要がある。
 
◆指導のポイントは二つ
 あくまでも私の場合は、ということである。
 二つポイントがある。

 第一のポイント
 採点は減点法で行われることを強く意識せよ。
 どんなに感動的な作文を書いても、それによって加点されることはない。
 名文を書こうと思うな。
 良い意見を書こうと思うな。
 これらは、この場においては無駄な努力である。
 与えられた条件を満たしているかだけを考えよ。

 第二のポイント
 どんなテーマが出ても同じパターンで書け。
 書き方のパターンは事前に準備しておけ。
 その場で考えることをできるだけ少なくせよ。
 これらは時間を節約する方法である。

 あと、細かいことは塾の先生方がブログやYouTubeで教えてくださっているので、そちらを見ていただこう。