昨日(1月12日)発表された第2回進路希望調査結果をもう少し詳しく分析してみる。
 今一度整理しておくが、今回調査の特徴と言えるのは次の2点である。
 1 県内私立希望者の増加
 2 通信制希望者の増加
 前年同期の数字は軒並み低下しているが、ここだけが上昇している。

 臨時休校の長期化という異常事態の中、公立もよく頑張ったと思うが、やはりICT教育に関しては私立に一日の長があった。
 それが私立への期待感、信頼感につながった。
 そして、就学補助の充実。
 国の支援金や県の補助金は、まだまだ完全とは言えないが、学費面でも私立が選びやすくなった。

 通信制希望は前々から少しずつ増えてはいたが、今年は一気に伸びた。
 と言っても、割合としては3.1%が3.9%に増えただけだが、「仕方なく」ではなく「積極的な」理由で選ぶ生徒も増えているように思われる。
 考えてみれば、今年度の最初の方は、どの中学生も通信教育を受けていたみたいなものであるから、通信制というものをイメージしやすく、選択しやすかったかもしれない。

 さて。今日の本題に入る。

 公立は希望者が減少し、当然ながら倍率も低下した。
 公立全体は前年同期1.15倍から1.12倍へ、普通科だけでは前年同期1.20倍から1.19倍へ。
 この後、学校間での移動はあるが、公立全体の倍率は変わらない。
 12月後半から年末にかけて公立希望から私立希望に変わる生徒はいても、その逆はほとんどない。
 だから、公立全体の倍率は下がることはあっても、上がることはない。

 そんな状況なのだが、前年同期から倍率を下げている学校がある中、過去最高倍率を記録している学校があることが分かったので、今日はそのことをお伝えしよう。
 全校やりたいが、時間の関係で今日は普通科のみである。

◆市立川越、川口市立などが過去最高倍率
 過去と言っても今回取り上げたのは、ここ5年間の記録だ。
 まず、平成28年度から令和2年度まで5年間の同期倍率(12月15日現在調査の倍率)を当たってみる。
 そして、5年間平均と最高・最低倍率を調べ、それを今回の倍率と比較してみる。
 
 【今回調査で過去最高を記録した学校】
  学校名右横の数字は今回調査の倍率である。

市立川越 2.90倍
 過去5年間平均は2.22倍、最高2.56倍、最低1.93倍。
 元々この時点では高倍率が出ているが、今回最高記録を更新。
 普通科定員140人と少ないため、僅かな人数変化で倍率が大きく動く。

川口市立 2.42倍
 新設なので過去データは3年分しかない。
 過去3年間平均は2.14倍、最高2.37倍、最低1.86倍。
 定員減(320人→280人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(320人)で再計算すると2.12倍とほぼ平均に等しい。

熊谷西 1.55倍
 過去5年間平均は1.41倍、最高1.50倍、最低1.13倍。
 定員減(280人→240人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(280人)で再計算すると1.32倍と平均をやや下回る。

越谷東 1.13倍
 過去5年間平均は0.99倍、最高1.08倍、最低0.91倍。
 この学校としては過去最高だが、今回の普通科平均1.19倍には及ばない。

八潮 1.10倍
 過去5年間平均は0.79倍、最高0.93倍、最低0.68倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員減(160人→120人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(160人)で再計算すると0.82倍とほぼ平均に等しい。

深谷 1.05倍
 過去5年間平均は0.86倍、最高0.94倍、最低0.74倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員減なし。
 10人以上減ると1.0倍を切る。
 何とか踏みとどまれ。ガンバレ深谷。

秩父 0.99倍
 過去5年間平均は0.92倍、最高0.98倍、最低0.80倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員減(240人→200人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(240人)で再計算すると0.82倍と平均を下回る。

日高・情報コース 0.90倍
 過去5年間平均は0.63倍、最高0.78倍、最低0.43倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員(40人)まであと4人。
 もう一息だ、ガンバレ日高・情報コース。

児玉 0.87倍
 過去5年間平均は0.55倍、最高0.69倍、最低0.43倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員減(80人→40人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(80人)で再計算すると0.43倍と過去最低に等しい。
 あと6人で1.0倍超え。
 もうひと踏ん張りだ、ガンバレ児玉。

越生 0.81倍
 過去5年間平均で0.58倍、最高0.62倍、最低0.54倍。
 過去5年間すべて1.0倍以下。
 定員減(120人→80人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(120人)で再計算すると0.53倍とほぼ平均と等しい。
 あと6人で1.0倍超え。
 何とかなるぞ、ガンバレ越生。

妻沼 0.53倍
 過去5年間平均で0.48倍、最高0.52倍、最低0.43倍。
 過去5年間はすべて1.0倍以下。
 定員減(160人→120人)が倍率上昇につながっている。
 昨年定員(160人)で再計算すると0.39倍と過去最低を下回る。

 以上が過去5年間と比較し、最高倍率を記録した学校たちであるが、最高と言っても1.0倍に達しない学校もあるし、定員減(40人減)の結果倍率が上昇した学校多い。
 結局、学校としての人気が反映された過去最高倍率は市立川越と川口市立だけと言ってよさそうだ。

 さて。
 過去最高をやったら過去最低もやらなければならないが、普通科だけで実に34校(コース含む)もある。
 申し訳ないが、とても全部はやっていられないので、いくつかに絞らせてもらう。

【今回調査で過去最低を記録した学校】
浦和西 1.78倍
 5年間平均で1.98倍、最高2.11倍、最低1.87倍。
 1.78倍の高倍率だが、それでも過去5年間と比較すると最低。

川越女子 1.35倍
 5年間平均で1.47倍、最高1.62倍、最低1.37倍。
 本出願に向け若干上がると思われるが1.40倍には届かないか。

浦和南 1.32倍
 5年間平均で1.68倍、最高1.90倍、最低1.53倍。
 本出願に向け若干上がると思われるが1.40倍超えは微妙。

所沢 1.23倍
 5年間平均で1.49倍、最高1.61倍、最低1.61倍。
 本出願に向け若干上がると思われるが1.40倍には届かないか。

草加東 1.20倍
 5年間平均で1.38倍、最高1.54倍、最低1.31倍。
 定員割れは起こさない学校だが、この時点で1.20倍だから1.1倍台をキープできるかどうか。

坂戸 1.16倍
 5年間平均で1.40倍、最高1.49倍、最低1.22倍。
 本出願に向け上昇し、1.20倍台を超え1.30倍台に乗るかどうか。

春日部東 1.03倍
 5年間平均で1.19倍、最高1.30倍、最低1.08倍。
 本出願で定員割れはないと思われるが、前年同期も1.08倍であり、1.10倍台をキープできるかどうか。

春日部 0.99倍
 5年間平均で1.18倍 最高1.28倍、最低1.15倍。
 あと2人で1.00倍。
 本出願に向け県外からの受験者も見込まれるので1.20倍台に乗ると予想されるが、県を代表する伝統校だけに、この時点では「まさかの定員割れ校」と言っていいだろう。

熊谷女子 0.99倍
 5年間平均で1.16倍、最高1.22倍、最低1.08倍。
 あと3人増えれば1.0倍なので、本出願で定員割れはないが、1.20倍を超えるのは難しそうだ。

大宮南 0.97倍
 5年間平均で1.41倍、最高1.59倍、最低1.27倍。
 「まさかの定員割れ校」の一つだだろう。
 本出願では上昇するはずだが、1.20倍に届くかどうか。

松山女子 0.92倍
 5年間平均で1.17倍、最高1.23倍、最低1.07倍。
 飛びぬけて高い倍率は出ないが、1.1倍から1.2倍台をキープしてきた。
 ここも「まさかの定員割れ校」に数えていいだろう。
 本出願に向けて上昇し、1.10倍台から、上手くすれば1.20倍台に乗せる可能性もある。

松山 0.88倍
 5年間平均で1.11倍、最高1.27倍、最低0.99倍。
 過去にも0.99倍を記録しており、前年同期も1.09倍だったので、「まさかの定員割れ校」とは言い難い。
 本出願に向けて1.10倍台には乗せるだろう。
 
川口北 0.89倍
 5年間平均で1.35倍、最高1.53倍、最低1.08倍。
 今回調査では「まさかの定員割れ校」の筆頭格だろう。
 本出願に向け、蕨や川口市立から高倍率を嫌っての流入があると予想されるので本出願で1.0倍を割ることはない。

 皆さんご存知のように、川口北は私が長く教員を務めた学校である。
 本ブログの読者の中にも川口北卒業生がいることだろう。
 「おいオマエラ(じゃなかった、おいみんな)、母校川口北が大変なことになってるぞ」
 親戚や知り合いに受験生がいたら、川口北を勧めてやってくれ。
 女子の制服はダサいがいい学校だ。

 もし、このブログを川口北の先生方がお読みになっているとしたら、アドバイスしておこう。
 いま現在、定員割れやそれに近い状態の学校の先生にも、だ。

 今さらと言わず、最後までジタバタしろ。
 普段生徒に最後の最後、ギリギリまで粘れと言ってるだろう。
 それを自分たちが実践するんだ。
 今からでも説明会、相談会をやればいい。
 学校見たかったら、放課後いつでもどうぞと言え。
 予定にありません?
 って、何言ってるんだ。
 予定になかったことが今、目の前で起こってるじゃないか。
 緊急事態宣言で制約があるのは分かってる。
 だが、落ち込んでる暇はない。
 直ちに行動に移せ。
 
 ちょっと言葉が乱暴なので言い直そうか。

 先生方。定員割れ状態でさぞ気持ちが落ち込んでいると察しますが、ここで諦めてはいけません。
 実際の出願までは、まだ数週間あります。
 常日頃、生徒たちに「最後まで諦めてはいけない」と指導されていると思いますが、今こそ、それをご自身で実践してください。
 可能であれば、追加の説明会や相談会を企画してみてください。
 緊急事態宣言の下、困難ではあると思いますが、放課後を利用しての個人説明も検討してみてください。今の時代、ホームページやSNSを使えば告知は簡単にできます。
 今、先生方の目の前で起こっていることは、予想外の出来事なのです。予想外に対応するには予定外の行動を取るしかないのです。
 事は一刻を争います。
 素早い行動を期待します。

 これでいいかな。