埼玉県高校入試、第2回進路希望状況調査(令和2年12月15日現在)の結果が本日午前発表された。
 夕方の発表になるかと思ったが、意外に早かった。

 県発表の資料はコチラへ。
 令和3年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和2年12月15日現在)

 では、一昨日の「予習編」に基づいて、検証して行く。
 
◆高校進学希望者は微増
 前年同期は、卒業予定者数6万3095人のうち、6万2241人(98.6%)が高校進学を希望していた。
 
 今回調査では、卒業予定者数6万1742人のうち、6万0929人(98.7%)高校進学を希望しており、0.1ポイントの増加だった。
 
◆通信制希望者が増加
 前年同期は、高校進学希望者6万2441人のうち、5万8038人(92.0%)が全日制高校を希望していた。それに対し、定時制は934人(1.5%)、通信制は1945人(3.1%)だった。

 今回調査では、高校進学希望者6万0929人のうち、5万6315人(91.2%)が全日制高校を希望しているのに対し、定時制希望者は883人(1.4%)、通信制希望者は2414人(3.9%)となっていた。
 
 通信制希望者が増加するであろうことは「予習編」でもお伝えしたとおりだが、前年同期と比較して、実人数で469人、割合で0.8ポイント増加しており、予想以上の伸びであった。
 なお、前回調査(10月1日)では、通信制希望者は1612人(2.6%)であったから、約2か月で大きく伸びたことがわかる。

◆都内私立希望者はやや減少
 前年同期は、全日制希望者5万8038人のうち、5万3363人(91.9%)が県内を希望し、4675人(8.1%)が県外を希望していた。

 今回調査では、全日制希望者5万6315人のうち、5万1852人(92.1%)が県内を希望し、4463人(7.9%)が県外を希望している。県内が0.2ポイント増加している。

 前年同期は、県外希望4675人のうち4188人(89.6%)は私立希望であり、さらに私立希望4188人のうち3196人(76.3%)が都内私立希望だった。

 今回調査では、県外希望者4463人のうち4061人(91.0%)は私立希望であり、さらに私立希望4061人のうち3024人(74.5%)が都内私立を希望している。
 県外私立希望者及び都内私立希望者はやや減少しているが、それほど目立った動きは見られない。

 
◆県内私立希望者は増加
 前年同期は1万713人が県内私立を希望していた。
 これは中学校卒業予定者数(6万3095人)の17.0%、
 高校進学希望者(6万2241人)の17.2%、
 全日制希望者(5万8038人)の18.5%、
 県内希望者(5万3363人)の20.1%である。

 また、前年同期は4万2460人が県内公立を希望していた。
 これは中学校卒業予定者(6万3095人)の67.3%、
 高校進学希望者(6万2241人)の68.2%、
 全日制希望者(5万8038人)の73.2%、
 県内希望者(5万3363人)の79.6%である。

 今回調査では、1万1281人が県内私立を希望している。
 これは中学校卒業予定者数(6万1742人)の18.3%、
 高校進学希望者(6万929人)の18.5%、
 全日制希望者(5万6315人)の20.0%、
 県内希望者(5万1852人)の21.8%である。

 また、今回調査では4万408人が県内公立を希望している。
 これは中学校卒業予定者数(6万1742人)の65.4%、
 高校進学希望者(6万929人)の66.3%、
 全日制希望者(5万6315人)の71.8%、
 県内希望者(5万1852人)の77.9%である。
 
 「予習編」で指摘したとおり、中学校卒業予定者に対する県内公立希望者の割合は毎年約2%ずつ減少している。
 今回調査でも、前年同期の67.3%に対し65.4%であったから、1.9ポイント(約2ポイント)の低下であり、県内公立希望者の減少に歯止めがかかっていない状況である。

◆公立全県倍率は低下
 前年同期は全学科計が1.15倍、普通科のみが1.20倍だった。

 今回調査では全学科計が1.12倍、普通科のみが1.19倍となっている。
 「予習編」では全学科計で1.13倍前後、普通科のみで1.18倍前後まで低下する可能性ありと述べたが、普通科は何とか踏みとどまっているものの、専門学科の低下が著しく、全体としては予想以上の低下となっている。

◆普通科倍率上位校
 カッコ内は前年同期倍率。「40人減」は募集人員が前年度より減少したことを表す。

 市立川越 2.90(1.93)
 川口市立 2.42(1.86)40人減 
 市立浦和 2.29(2.13)
 川越南  1.99(1.68)
 浦和西  1.78(1.96)
 大宮   1.76(1.56)
 越ケ谷  1.72(1.78)
 南稜   1.71(1.36)
 大宮北  1.70(1.78)
 越谷南  1.69(1.46)
 上尾   1.68(1.66)
 蕨    1.63(1.79)
 所沢北  1.59(1.28)
 鳩ヶ谷  1.59(1.89)
 熊谷西  1.55(1.46)40人減
 越谷北  1.46(1.10)
 川口市立・スポーツ科学 
       1.44(1.29)40人減
 浦和一女 1.41(1.40)
 川越   1.40(1.45)
 上尾鷹の台1.38(1.04)40人減
 朝霞   1.36(1.17)
 不動岡  1.36(1.33)
 川越女子 1.35(1.40)
 浦和南  1.32(1.53)
 鴻巣   1.31(1.54)
 入間向陽 1.30(1.02)
 浦和   1.30(1.54)
 以上、倍率1.30倍以上が26校(+1コース)。

 前年同期は2倍超が市立浦和のみだったが、今回調査では2倍超が3校ある。
 この中で、前年同期より上がっているのは16校プラス1コース、下がっているのが10校。
 
 倍率が大きく上がっているのは、
 川越市立 +0.97
 川口市立 +0.56
 越谷北  +0.36
 南稜   +0.35
 上尾鷹の台+0.34
 川越南  +0.31
 所沢北  +0.31
 入間向陽 +0.28
 越谷南  +0.23
 大宮   +0.20
 
 逆に、大きく下がっているのは、
 鳩ヶ谷  -0.30
 浦和   -0.24
 鴻巣   -0.23
 浦和南  -0.21

 県立浦和の1.30倍は、過去4年間連続でこの時期の倍率は1.50倍を超えていたので、例年にない低倍率と言える。
 今後の動向が注目される。

◆その他、普通科上位校の倍率
【東部地区】
 春日部  0.99(1.16)-0.17  
 春日部女子1.10(0.77)+0.33 40人減
【西部地区】
 所沢   1.23(1.42)-0.19
 和光国際 1.29(1.65)-0.36
【南部地区】
 川口北  0.89(1.37)-0.48
【北部地区】
 熊谷   0.93(1.05)-0.12
 熊谷女子 0.99(1.22)-0.23

 春日部は例年、隣接県協定による県外からの受験者がいるが、今回の調査には含まれていない。
 川口北の低倍率が目立つ。前前年同時期に1.08倍を記録したが、それ以外は常に1.35倍以上をキープしていた。
 繰り返し言っているように、同じ市内の川口市立に希望者が流れているためだろう。

◆前年同期と比べ、大きく倍率を上げている普通科
 市立川越 2.90(1.93)+0.97
 川口市立 2.42(1.86)+0.56
 児玉   0.87(0.43)+0.44 40人減
 越谷北  1.46(1.10)+0.36
 南稜   1.71(1.36)+0.35
 上尾鷹の台1.38(1.04)+0.34 40人減
 春日部女子1.10(0.77)+0.33 40人減
 所沢北  1.59(1.28)+0.31
 川越南  1.99(1.68)+0.31
 日高・情報コース
      0.90(0.60)+0.30
 以上、0.30ポイント以上の上昇。

◆前年同期と比べ、大きく倍率を下げている普通科
 小川   0.54(1.07)-0.53
 川口北  0.89(1.37)-0.48
 大宮南  0.97(1.37)-0.40
 和光国際 1.29(1.65)-0.36
 飯能・スポーツコース
      0.28(0.63)-0.35
 浦和北  1.08(1.42)-0.34
 白岡   0.85(1.18)-0.33
 坂戸   1.16(1.47)-0.31
 松山女子 0.92(1.23)-0.31
 草加南  1.03(1.33)-0.30
 鳩ヶ谷  1.59(1.89)-0.30
 以上、0.30ポイント以上の下降。

◆専門学科・総合学科、倍率上位校
 大宮・理数      2.18(1.38)
 久喜工業・情報技術 1.90(1.28)
 川口市立・理数  1.83(1.23)
 大宮北・理数   1.80(1.75)
 越谷総合技術・情報技術 1.75(1.65)
 大宮光陵・美術  1.65(1.80)
 杉戸農業・生物生産技術 1.65(1.65)
 川越工業・デザイン 1.80(1.80)
 越谷総合技術・食物調理 1.65(1.23)
 川越総合・総合   1.59(1.66)40人減
 浦和商業・情報処理 1.41(1.05)
 川越工業・建築   1.38(1.28)
 浦和工業・情報技術 1.35(0.85)
 川越工業・電気   1.33(1.35)
 熊谷工業・情報技術 1.33(1.08)
 所沢北・理数    1.33(1.45)
 以上、倍率1.30倍以上の学科。
 理数科は当然として、工業系の情報技術の高倍率が目立つ。

 なお、学科別の倍率は次のとおり。
 農業 0.91(0.99)
 工業 0.90(1.00)
 商業 0.80(0.88)
 家庭 1.03(0.97)
 看護 1.29(1.19)
 外国語1.02(1.03)
 美術 1.25(1.36)
 音楽 0.58(0.73)
 書道 0.68(1.15)
 体育 0.96(0.87)
 理数 1.50(1.34)
 福祉 0.76(0.59)
 人文 0.38(0.78)
 国際文化0.65(0.95)
 映像芸術1.20(1.60)
 舞台芸術0.83(1.40)
 生物環境1.02(1.18)

 専門学科計0.91(0.98)
 総合学科 0.96(1.03)

◆県内私立各校の希望状況
 私立全体では1万1281人。これは内部進学者も含む。
 前年同期は1万713人だったから、568人の増加。

 前年同期より増えている学校
 カッコ内は前年同期の人数。
 
 増加人数の多い10校。
 叡明   371(246)+125
 細田学園 296(183)+113
 浦和学院 456(372)+84
 埼玉栄  639(561)+78
 川越東  272(198)+74
 正智深谷 294(220)+74
 星野   599(533)+66
 花咲徳栄 373(329)+44
 本庄第一 224(182)+42
 山村学園 221(181)+40

 前年同期より減っている学校
 減少人数の多い10校。
 大宮開成 245(312)-67
 早大本庄 299(363)-64
 浦和実業 392(441)-49
 西武文理 181(228)-47
 埼玉平成 149(195)-46
 城西川越 125(150)-25
 栄北   159(182)-23
 春日部共栄258(281)-23
 本庄東  270(291)-21
 東京農大三358(378)-20

 私立の希望者数は、附属中学校を併設している場合、その人数にも左右される。
 また、前年、前前年の入学者数が募集定員を大きく超えている場合などは、推薦基準を引き上げるなどして受験者の絞り込みを図っていることも考えられる。

 以上、第2回進路希望調査の結果を速報としてお届けした。