昨年度に引き続き、第2回進路希望調査(12月15日現在)の結果から、実際の出願倍率を予想してみようと思う。
 できるだけ多くの学校を扱いたいが、今回取り上げるのは公立難関校(上位校)がほぼ含まれる「学校選択問題採用校」である。
 今日と明日、前編と後編の2回に分けてお送りする。
 学校ごとの倍率予想は明日になる。
 今日は総論だ。

◆地域トップ校の倍率が軒並み低下 
 今年度の第2回進路希望調査では例年と異なる動きがみられた。
 地域のトップ校と目される学校が軒並み前年同期倍率を下回っているのである。
 さしあたり、東部(春日部)、西部(川越・川越女子)、南部(浦和・浦和一女)、北部(熊谷・熊谷女子)を地域トップ校とみなした場合、前年同期を上回ったのは7校中浦和一女のみである。ただし、これも(1.40→1.41)とほんの僅かな上昇だ。
 春日部、熊谷、熊谷女子にいたっては1.0倍を下回っている。
 このような現象はかつてなかったことだ。

 私は直接受験生を教える立場ではないので想像するのみだが、コロナがもたらした異常事態の中で、チャレンジ精神が育ちにくかったのかもしれない。

◆地域2番手校の倍率は上昇
 地域トップ校に次ぐ2番手校はどうだったか。
 ここでは、東部(越谷北・不動岡)、西部(所沢北)、南部(大宮・市立浦和)、北部(熊谷西)を地域2番手校としてみる。
 大宮を2番手校グループに入れるのは抵抗があったが、ここでは東西南北の地域ごとに考えているので、やむを得ず2番手だ。
 
 結果は、トップ校とは対照的に6校すべてが前年同期を上回っている。(※普通科のみで見ている。熊谷西は定員減の影響もある)
 例年、これらの学校は進路希望調査の時点では高倍率になりやすいが、今年は特に高めに出ている。
 もう一つ上を目指す決心がつかなった受験生が、ここにとどまった可能性がある。

◆上位校希望者総数は昨年と変わらない
 さて。
 ここまで見てきて、ふと、ある考えが浮かんだ。
 本来なら地域トップ校を目指すべき受験生が、安全志向で2番手校を希望しているとすれば、「トップ校+2番手校」の希望者総数は昨年とあまり変わっていないかもしれない。
 
 さっそく調べてみよう。

【昨年】
 トップ7校希望者総数+2番手6校希望者総数
 =3.210人+2.595人
 =5.805人

【今年】
 トップ7校希望者総数+2番手6校希望者総数
 =2.920人+2.880人
 =5.800人

 やはり。
 ほぼ予想通りの数字が出た。
 今年は中学校卒業予定者数が6万3095人で昨年より1353人少なく、それに伴い、高校進学希望者も全日制希望者も県内公立希望者も減っているから、そこは頭に入れておかなければならないが、「トップ7校+2番手6校」の希望者総数は、昨年5.805人、今年5.800人とピタリ一致した。
 
 トップ7校の希望者総数は昨年3.210人に対し今年2.920人で、マイナス290人。
 2番手6校の希望者総数は昨年2.595人に対し今年2.880人で、プラス285人。
 つまり、上位13校(トップ7校+2番手6校)の希望者総数は昨年も今年も変わらず、トップ7校の減少分がそのまま2番手6校の増加分になっている

 さあ、この結果をどう見るか。

 トップ7校や2番手6校のくくり方は、これでいいのか。
 3番手や4番手も含めた分析が必要ではないか。
 と、私の中でもまだまだ疑問符はたくさんついているのだが、「トップへのチャレンジを避け、やや消極的で安全志向に走っている今年の受験生」の姿が浮き彫りになっていると言えないだろうか。