保護者からのお便り。保護者と言っても私の教え子なのだが、子供が希望校に合格したという報告だ。
親としての不安は片道2時間という遠距離通学のことだが、本人がそれでも行きたいと言っているのだから全力応援しなさいよ。
3年間のことなんだし。
今さら言うまでもないことだが、通学時間が長いということのメリットはほとんどない。
短い方がいいに決まっている。
朝寝坊できる。
家庭学習の時間も確保できる(やればの話だが)。
部活で遅くなっても平気。
交通費も安上がり。
いざという時にも安心。
だから、相談されれば「できれば近い方がいいんじゃないか」と答える。
でも、本人がどうしてもと言うなら、それでいいではないか。
小学生ならまだしも、中学生なら遠距離通学のデメリットぐらい想像できるだろう。
その上での決心だ。
大人からすれば、今は大丈夫と言っているが、雨の日も雪の日も嵐の日もあるし、電車だっていつ止るか分からない。
そんな日でもくじけず行けるだろうか。
そのうち弱音を吐くんじゃないか。
学校行くことに嫌気がさしてしまうのではないか。
と、マイナス方向に考えがちだが、これはまあ、ある意味都会に住んでいる者特有の発想なのだ。
親の発想の方が貧弱で軟弱なのだ。
日本は広い。
地方の子はもっとたくましく生きてるぞ。
世界で活躍したいとか、世のため人のために働きたいというなら、片道2時間がなんだ。
とは言え、まだ体力も発展途上の中高生だ。
親の後押しがなければ決心は持続できない。
この際、親も覚悟を決め、子供の決心が揺らがないよう全力応援することだ。
デメリットが想像できているのなら、少しでも緩和できる方法を考えればいいだけだ。
一応、年寄りとして忠告しておくが、仮に子供が弱音を吐くことがあっても、「だから最初から言っただろう」は禁句である。
自分が心の中で悔やむのは自由だが、それを子に向かって言ってはいけない。
渋々だろうが、不安を感じながらだろうが、子の決心を認めた以上、親子は共に一つの方向に向かって走り始めたのだ。
共に困難を乗り越えようと決めたのだ。
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