「あー、もっと早くからやっておけば良かった」。そんな思いを抱いている受験生は少なくないだろう。
 親は親で、寝る間も惜しんで勉強するわが子の姿を見て、「もっと早くから、このぐらい頑張ってくれていれば」と悔しがる。
 まさか口に出したりはしないと思うが、こういう物事の捉え方はあまり感心しない。

 まずは目の前の子供の行動を正当に評価してあげないと。

 「最近、よくお手伝いしてくれるじゃない。前は全然してくれなかったのに。何かあったの」。
 これ、感謝してる?
 正当に評価してる?
 以前のことはどうでもいいでしょう。動機も別にいいでしょう。
 お手伝いしてくれているという現実のみを捉え、そこだけを評価する。
 
 勉強も同じ。
 今頑張っているという目の前の事実だけに着目し、それを評価する。

 この「もっと早くから~しておけば良かった」というのは、一生続くものだ。
 そうじゃない人も大勢いるが、私のような凡人は、日々反省の繰り返しだ。
 きっと死ぬまで続くことだろう。

 しかし、ある時から少しずつ考え方が変わってきた。
 「もっと早くから~しておけば良かった」と思ったことは、今から始めてもいいんじゃないか。
 今さら手遅れかもしれないが、しておくほうが良いと思っていることはダメ元でやってみよう。

 まあ、結果は予想通り間に合わず、やるだけ無駄だったということになるのだが、
 「もっと早くから~しておけば良かった」と言っていいのは、この瞬間である。
 
 だから、その意味でも「もっと早くから~」と子に対して言うのは今ではない。

 子供は日々成長するものであるから、常に目の前にある今の状態を評価する。

 世の中のたいていのことは、早く気づいて早く行動を起こした方がうまく行く可能性は高い。
 だが、後から気づいてそこから始めたら全てダメかというと、意外とそうでもない。
 皆さんもそんな経験をお持ちではないか。

 そう考えれば、今頃になって頑張り始めた我が子は、なかなかいい線行っているではないか。
 「今さら手遅れ」と諦めの早い人間になるより、「今からでも」と行動を起こす人間に育って欲しいと思わないか。

 この時期になると、「もう少し早くからやっててくれればねえ」と嘆く親が多いので、ちょっとアドバイスを送ってみた。