今日は、浦和で進学イベントが行われていた。目と鼻の先だから様子ぐらい見に行ってもいいがやめた。
 締め切り間近の原稿を書くのが優先だ。

 このイベントは、いわゆる合同進学相談会というやつだ。
 20年ぐらい前はそれほど多くはなかったが、その後、雨後の筍のごとく増え続けた。

 ビジネスモデルとしては割と簡単だ。
 会場を借りて、出展校を集めて、参加者(受験生)に告知する。
 ただそれだけ。

 運営にかかる費用は出展校からブース参加料などの名目で集める。
 参加者(受験生)の少ないイベントには学校側もあまり参加したくないから、参加者(受験生)をどれだけ集められるかがポイントだ。
 告知媒体を持っている新聞社などマスコミがバックについていると強い。
 また、動員力のある大手塾などが協力してくれるとそれだけで集客力がアップする。

 去年はコロナの影響で中止になったイベントが多かったが、これは特殊事情だ。
 今年は開催するとしても制約の多いものになりそうだが、これも特例的なもの。

 はっきり言えることは、減る気配が見えないことだ。
 さすがにイベントの新規立ち上げは減ってきてはいるが、全体の数は減らない。
 ということは、主催者側、学校側、受験生側にそれぞれ何らかのメリットがあるということだ。

 じゃあ続ければ。
 なのだが、10年も20年も同じスタイルというのは、あまりにも芸がなさすぎだろう。

 学校や先生方も、第一に「費用対効果」という観点から、第二に「働き方改革」という観点から、付き合い方や取り組み方を再考したらどうだ。
 というのが、ここ数年、私が言い続けてきたことだ。

 一日中、店開いて(ブース開いて)訪れた受験生親子が10組に満たない。
 そういう学校もあると思うが、これはどう考えてもコスパ悪すぎ。
 企業的発想なら、即刻撤退。
 検討の余地なんてない。不参加一択に決まってんだろう。
 それを主催者との付き合いだとか、隣近所の学校の手前とか、つまんない理由でダラダラ続ける。

 「いやいや、うちの学校にとって、その1組、2組が大事なんですよ」
 なんて、もっともらしいこと言ってる場合じゃねえ。
 おっと、言葉遣いが悪すぎた。
 今の時代、主張の中身よりも表現の方が問題になる。

 学校は営利企業ではないが、経営資源(ヒト・モノ・カネ)には限りがあるのだから、「費用対効果」の考え方は持ったほうがいい。
 その日一日にかけた費用(ブース参加料や人件費)に対して、どれだけの受験生が得られたのか。
 最終的には入学に結びつくことだが、その手前段階として出願に結びついているのか。
 最低でも、さらに手前段階である学校独自説明会や相談会に誘導できているかどうか。
 今日は相談者(ブース来訪者)が何人いましたで満足している場合じゃない。

 日々の教育活動については、なかなか「費用対効果」は算出しにくい。
 というか、そういう発想はなじまない。
 だが、募集活動は数字で表せる。金に換算できる。

 「効果>費用」であれば継続でいい。
 だが、「費用>効果」なら別の方法を考えよう。
 今は別の手段がいくつもあるのにそれを使わないのはもったいない。

 対面型の説明や相談を否定しているわけじゃない。
 そこに至るプロセスは考え直してもいいんじゃないのという話だ。

 スタッフに余裕のある学校ならいいが、担当者が土日ごと出ずっぱりで代休もとれないという状況は改善すべきだろう。
 従業員満足を犠牲にしての顧客満足は時代に合わんね。

 念のため言っておくが、今日行われたイベントがどうこうという話ではない。
 あくまでも一般論である。