一日おいて報告となったが、月曜日は昌平高校の帰りに蓮田松韻高校に寄ってきたのである。
 東北道蓮田SAのスマートICから入ろうすると、学校がすぐそばにあるのだ。

 昌平での取材を終え、「帰り道なんで今から寄っていい」と教頭に電話してみる。
 この慣れ慣れしさは何なのだと思われるかもしれないが、教え子なんで。
 で、運よく時間が取れるというので訪ねてみた(本当は忙しかったはずだが)。

 校長先生とも以前からの知り合いなので、早速本題に入る。
 今年の募集、大丈夫か。

◆蓮田松韻は募集構造にメスを入れなければ
 つい先だっての希望調査でも200人定員のところ希望者71人、倍率0.36。
 このところ第1回希望調査で0.5を上回ったことがない。
 今春も欠員補充を行った上で、入学者122人だった。
 大丈夫なわけない。

 この学校の過去の入学者を調べてみる。
 カッコ内は定員である。
 平成24年度(240) 239人
 平成25年度(240) 236人
 平成26年度(240) 248人
 平成27年度(240) 241人
 平成28年度(240) 240人
 平成29年度(240) 244人
 平成30年度(240) 233人
 令和元年度(200) 195人
 令和2年度(200) 198人
 令和3年度(200) 122人

 注目すべきは平成30年度から令和元年度にかけてだ。
 令和元年度から定員が240人から200人に減った。
 それまで、欠員補充で補ったにせよ、最終的には何とか240人前後を確保してきた。
 ところが定員を40人減らした年度を境に入学者が200人を下回るようになった。

 なぜ、このようになったか。
 それは、この学校の募集構造にある。
 第1回調査では低倍率。
 第2回調査ではやや上がるが引き続き低倍率。
 出願時は低倍率を見ての駆け込みがあるが、それでも定員割れ。
 欠員補充で何とか帳尻を合わせる。

 この、最後は何とか帳尻が合ってしまうという状況が長らく続いたことが蓮田松韻の悲劇である
 (悲劇はちょっと大げさか)
 希望調査で倍率が低くても、いつものことだと思えてしまう。
 最後は何とかなると思えてしまう。
 
 希望調査時点での倍率を上げることを第一に考えなければならないのだ。
 欠員補充をしなくて済む募集を目指さなければいけないのだ。
 
 引き分けに持ち込むのではなく、先制攻撃を仕掛け、勝ちに行く募集に変えて行くことだ。
 そうしないと、仮に募集が160人に減ったとしたら、今度はそれが集まらない学校になってしまう。

◆来てもらえば分かる、だったらその機会を増やさないと
 先月の記事の中でも書いたことだが、人気薄の学校が必ず言うのがこれだ。

 私は公立定員割れ校も、専門高校もいろいろ見に行っている。
 学校が合わない子は早々に辞めている(進路変更している)というのもあるかもしれないが、残っている生徒はみんなまともだ。
 授業もちゃんと成立している。
 だから、来てもらえれば良さが分かるというのは同意できる。

 じゃあ、そこまでの結論が出ているんだったら、来てもらう機会を増やせばいいじゃないか。
 来てもらうように手を打ったらいいじゃないか。
 その努力、その工夫、どれだけしてる?

 たとえば、蓮田松韻の説明会。
 学校説明会4回。
 イブニング説明会(個別)3回。
 計7回。

 募集規模(人数)や入試の仕組みが違うので単純比較はできないが、比較的近くにある私立と比べてみよう。
 受験者層(学力レベル等)はここでは無視する。

 ▽昌平高校
 全体説明会&個別相談  7回
 個別相談のみ      2回
 イブニング説明会    3回
 コース別説明会     9回
 計21回

 ▽花咲徳栄高校
 説明会&個別相談    15回
 食育実践科体験     4回
 計19回

 まあ、どの私立も大体このくらいの数はやっているわけだ。
 説明会開始時期も早い。
 校外での合同イベントへの参加も多く、ここから校内説明会に誘導している。
 今期は文化祭に呼べなかったが、この点は公私立問わずすべての学校が共通だ。
 部活体験が出来なかったり、規模縮小せざるを得なかったのも同条件。

 公立も私立と同じようなやり方をするべきだとまでは言わない。
 しかし、来てもらえれば良さが分かると言うなら、単純に来てもらえる機会を増やせばいい。
 イベントは土日祝日にしか設定できないので教職員の勤務などを考えるとハードルが高いのは承知の上である。

◆ついでの話
 今期も私立入試ど真ん中の1月22日(土)に説明会を設定している公立が結構ある。
 22日は私立入試の解禁日で、ほとんどの私立がこの日に入試を実施する。
 私立は受けず公立一本の子を狙いに行っているなら話は分かるが、併願組は絶対来ないからね。

 私立入試日程を知らずに設定しているとしたら、あまりにもお粗末。
 入試シーンはあなたの学校を中心に動いてるわけではない。

 模試の日程調べているか。
 他校の情報を収集しているか。
 近隣中学校の行事日程調べているか。
 ちょっと気の利いた私立は、近隣中学校の学校行事やその代休日、定期考査の日程も調べているよ。塾の定休日も。