13日の記事で、志願先変更参考資料を示した。
 前年のデータに基づく分析である。
 しかし、実際に志願先を変更するのかしないのか、また、変更するとしてどこに変えるのかは、受験生本人の希望の強さや性格や直近の成績の伸び具合など、さまざまな要素を加えて考えなければならない。
 したがって、ここから先は、個々の生徒を熟知する先生方のご指導にお任せするほかはない。

 私にできるのは、数字から見た傾向分析のみである。
 
 さて、ここでは14日正午現在で発表された志願者数及び倍率で今後の動向を予想してみる。
 第2日目終了時点(15日時点)の最終数字もあるが、おそらく、それほど大きな変動(増加)はないだろう。

◆1.50倍以上なら倍率低下
 昨年の例から見て、現時点で1.50倍以上である学校は、志願先変更により倍率は低下するだろう。
 昨年はこの時点で1.50倍以上であった学校すべてが、志願先変更により倍率は低下した。
 今回それ該当するのが以下の学校である。

 市立浦和 2.19
 川口市立 1.86
 浦和西  1.60
 市立川越 1.56
 浦和一女 1.53
 大宮   1.53
 越谷北  1.50 

 大宮浦和一女レベルになると都内難関私立併願者も多くなる。
 したがって2月10日から始まったこれら難関私立の結果次第では、公立出願自体を取り下げる動きも出てくるだろう。
 つまり、倍率とは関係ない動きもあるということだ。

 市立浦和は現時点でも2倍超を維持している。
 同校の志願者の実人数は526人で、浦和西572人、浦和一女547人、川越534人より少ないが、これら3校が358人募集であるのに対し、240人募集なので倍率的には高くなる。
 出願取り下げや志願先変更によって仮に50人程度減少すれば2倍を割る計算だが、はたしてそれほど大量の減少があるかどうか。
 個人的には2倍を維持したまま本番を迎える可能性が高いと見ている。
 入試制度が異なるので同列に論じることはできないが、東京や神奈川では2倍を超える入試が珍しくなくなっている。
 埼玉で2倍を超える公立入試が行われるようになっても不思議ではない。
 
 昨年の例から見て、現時点で1.50倍を超えている学校は、0.1ポイント程度の低下だと予想される。
 つまり、1.50が1.40になる程度だ。高倍率を覚悟しておかなければなるまい。

◆1.40倍以上も低下か
 前年の例で見ると、低下の可能性の方が高いが、現状維持か若干上昇の可能性もある。
 今回、現時点で1.40倍超えは以下の学校である。

 川越   1.49
 浦和南  1.48
 蕨    1.46
 和光国際 1.43
 所沢北  1.42
 川越南  1.42
 越谷南  1.41

 これらの学校は、低下したとしても、それほど極端なものにはならないだろう。
 所沢北は前年同期(1.42)と変わらない。川越は前年同期(1.37)、は前年同期(1.35)、越谷南は前年同期(1.32)であったから、それに比べるとやや高い。
 川越南は前年同期(1.77)に比べればかなり低い。
 浦和南は前年同期(1.21)、和光国際は前年同期(1.13)と比べるとかなり高いが、共にそれ以前は1.30倍台が普通だった。
 まとめて言えば、これらの中に「例年に比べ異常に高い」という学校は見当たらない。
 極端な低下はないと予想する根拠はそこにある。

◆1.30倍以上は微妙
 志願先変更では、流入より流出が多くなり、倍率は低下するだろう。
 ただし、大幅なダウンはないとみる。
 今回、現時点で1.30倍超えは以下の学校である。

 浦和   1.39
 越ヶ谷  1.37
 川越女子 1.35
 南稜   1.35
 所沢   1.30

 浦和は昨年、志願先変更により32人減少した。
 この中には都内などの難関私立に合格したため、公立出願そのものを取りやめた者も含まれると思うが、その数は不明だ。
 仮に、昨年並みに5%程度の減少があったとすると、志願者は約25人減で474人となり、倍率は1.32まで低下する。おそらく、このあたりが下限で、1.30を割ることはないだろう。
  
 越ヶ谷は定員増(320→360)があったが、志願者数が増えたため倍率としては前年同期(1.38)と変わらない。この学校としては例年並みの倍率であるから、志願先変更による変動は少ないだろう。越谷北が例年より高めとなっているので、そこからの移動(ランク下げ)があれば、倍率は若干上がる可能性もある。

 川越女子は前年同期(1.30)よりやや高めだ。志願先変更による増減は、昨年が3人減、一昨年が1人減と、変動が少ないのがこの学校の過去の傾向なので、下がったとしても1.30倍台の前半にはとどまりそうだ。

 南稜は前年同期(1.39)よりやや低めだ。仮に、昨年並みに3%程度の志願者減があった場合、1.30倍前後まで下がる可能性がある。

 所沢は前年同期(1.22)より高めだ。この2年間、1.20倍台が続いているので、やや高過ぎると見て敬遠する動きも出てきそうだ。 

◆1.20倍以上は上昇も
 前年同期は15校あったが、今年は9校に減っている。
 今回、現時点で1.40倍超えは以下の学校である。

 浦和東  1.29
 入間向陽 1.28
 春日部  1.28
 川口北  1.28
 鳩ヶ谷  1.27
 川口市立・スポーツ科学1.26
 豊岡   1.23
 不動岡  1.22
 与野   1.22

 春日部は例年通り、第2回進路希望調査と比べ志願者数を増やした。調査時点で377人、現時点で457人で80人増だ。よく言われるのは(私も言っているが)、隣接県協定に基づく県外生の出願である。だが、それだけで80人増とはならないのではないか。昨年も100人ほど増えたが、すべて県外生とは考えにくい。春日部の県外(千葉・茨城)からの入学者は、19年が11人、20年が12人、21年が15人である。このことから考えて、増加分の半数以上は県内生の移動によるものと推測する。
 話がややそれたが、春日部は前年同期(1.28)と変わらず、志願先変更後も1.28だったので、今年も大きな変化なしとみるのが妥当だ。

 川口北は前年同期(1.00)から大幅に上昇した。ただ、昨年が異常だっただけで、この学校としてはごく普通の倍率だ。近隣の学校を見ると、川口市立(1.86)、蕨(1.46)、浦和西(1.60)、浦和南(1.48)と高倍率なので、それらからの流入はあったとしても、流出は考えにくい。

 不動岡は前年同期(1.33)に比べかなり低い。志願者数で見ると、前年同期が437人、今年が427人と僅か10人の違いだが、外国語科募集停止に伴う普通科定員増(320→360)の結果、倍率が大きく低下した。ここは群馬・茨城からの受験生も多い学校だが、春日部のように出願時に大きく増えることはない。
 1.22倍は、この学校の過去5年間の最低値ということを考えると、ここが下限で、むしろ若干上昇の可能性もあるのではないか。
 
 豊岡鳩ヶ谷は前年も1.20倍台だったが、志願先変更後は低下した。今年も同じパターンではないか。
 入間向陽浦和東は、昨年1.00倍を僅かに上回る倍率で本番を迎えた。今年の倍率はその反動と見える。したがって、志願先変更後の倍率は低下するだろう。
 鳩ヶ谷与野は周辺の同レベルの学校の動きにも左右されそうで、読みが難しい。鳩ヶ谷はやや下がり、与野はやや上がるのではないか。
 川口市立・スポーツ科学は大きな変動はなさそうだ。動きがあるとすれば、この学校の中での「普通科→スポーツ科学」という移動だ。

 本日はここまで。
 普通科全校を取り上げるのが目標だが、体力の限界がきた。