埼玉県公立入試、令和4年度(2022年度)の平均点が発表された。
例年、連休前のこの時期に発表される。
詳細データはこちら。
「令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況」(令和4年4月28日)
様々なデータがまとめられているが、とりあえず平均点(受検者平均)を見てみよう。
カッコ内は前年である。
◆英語(学力検査問題)以外は全教科で前年下回る
▽国語 62.9点(68.7点) 前年比マイナス 5.8点
▽社会 52.9点(62.6点) 前年比マイナス 9.7点
▽数学 48.0点(62.2点) 前年比マイナス 14.2点
▽理科 52.5点(56.2点) 前年比マイナス 3.7点
▽英語 52.6点(51.4点) 前年比プラス 1.2点
▼数学(学校選択) 42.6点(56.0点) 前年比マイナス13.4点
▼英語(学校選択) 58.3点(61.6点) 前年比マイナス 3.3点
国語は下がったが60点台をキープし、5教科中最高。
社会は10点近く下がった。
数学は学力検査問題・学校選択問題共に大きく下がり、どちらも50点を下回った。
理科はやや下がった。
英語は学力検査問題が僅かに上がったが、学校選択問題はやや下がった。
ほぼ全教科が下がったのは珍しいことだ。
特に数学の低下が激しい。
◆過去3年間との比較
以下は過去3年間との比較である。
上から順に2022年度(今回)、2021年度、2020年度。2019年度。
▽国語 62.9点
68.7点
57.2点
58.3点
前回よりは下がったが、唯一の60点超えであり、高い平均点を維持している。
▽社会 52.9点
62.6点
55.4点
60.3点
前回より約10点下がり、ここ4年間では最低だった。
▽数学 48.0点
62.2点
67.9点
42.3点
ここ2年間、60点台が続いたが、3年前の40点台に逆戻りした。
▽理科 52.5点
56.2点
51.1点
44.5点
前回よりは下がったが、ここ3年間は比較的安定している。
▽英語 52.6点
51.4点
52.2点
47.7点
今回、僅かではあるが唯一上昇した教科。ここ3年間で見ると最も安定している。
▼数学(学校選択) 42.6点
56.0点
55.2点
53.5点
学力検査問題と同様、久しぶりの40点台。
▼英語(学校選択) 58.3点
61.6点
58.9点
64.3点
前回よりは下がったが、比較的高いレベルで安定している。
◆過去10年間、高平均点ランキング
今年を含む10年間で平均点が高かった教科は次のとおりである。
1 71.9点 英語(29年度学校選択)
2 68.7点 国語(令和3年度)
3 67.9点 数学(令和2年度)
4 65.6点 国語(25年度)
5 64.3点 英語(31年度学校選択)
6 64.0点 国語(26年度)
7 63.7点 社会(28年度)
8 63.4点 理科(25年度)
9 62.9点 国語(令和4年度)【今回】
10 62.6点 社会(令和3年度)
11 62.2点 数学(令和3年度)
12 61.6点 英語(令和3年度学校選択)
今回下がったとは言え、国語の62.9点は過去10年間の中でも高い方であることが分かる。
◆なぜ、平均点が軒並み下がったのか
2020年度、2021年度の2年間は40点台の教科がなく、国語・数学・社会などで60点台が数多く出た。
平均点から見る限り、県が打ち出した「取り組み易い問題を増やす」という目標に近づいたかに見えたが、2022年度(今回)は一転して、40点台2教科、50点台前半3教科と、2019年度以前に逆戻りした感がある。
最高の国語(62.9)と最低の数学・学校選択(42.6)の間に20.3点の開きが生じてしまった点も、今後の課題として残るだろう。
今回は2021年度のような出題範囲の縮小がなかった。
この学年は3年次においては大きな進度の遅れはなかったが、2年次に大幅な遅れがあった。
学習指導要領の改訂(教科書改訂)が重なり、新たな出題が加わった。
特に問題が難化していなくても、これらの影響を受けた可能性はある。
今後、県の方から標準偏差や小問ごと正答率(通過率)などの発表があるので、それを見れば、今回の傾向がより鮮明に見えてくるだろう。
取り急ぎ、平均点のみの報告である。
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