スポーツ庁が中心になって進めている公立中学校の運動部活動改革。
 有識者会議の提言の素案が25日判明したというニュース。
 【独自】休日の中学部活を「民間委託」案、顧問負担軽減へ25年度までに…「会費」支払いも

 キーワードは「地域移行」。
 休日の部活指導を地域や民間に委ねるということだ。
 つまり、休日に関しては学校から切り離す。
 これを来年度2023年度から始め、2025年度まで3年間かけて達成する。

 運動部活の改革の方向性は、スポーツ庁の広報ページにある。
 興味ある方は時間のある時にチェックしてもらうとして、ここに「運動部活動の地域移行に関する検討会議」設置についてや、「スポーツ庁が考える運動部活動の在り方」が示されているので、あとは手続き上の問題だけであった。
 つまりは、急に出てきた話ではないということ。
 新たなスポーツ環境の構築に向けて~子どもたちの未来を見据えた「部活動改革」~

 改革の背景には、少子化の進行により、学校単位ではチームが成立しにくくなったという背景もある。
 野球をやろうにも9人揃わない、サッカーやろうにも11人揃わない。
 地方では前々からあったが、都市部でもこうした状況が出現しつつある。

 加熱する部活動。
 先生の過重負担となる部活動。
 その一方、運動部活は存続の危機に直面している。
 それを総合型地域スポーツクラブなどの活用により、解決を図る。

 なるほど。
 そうなると、中学校運動部は平日のみ活動となり、いわゆる「ゆる部活」になって行くわけだ。
 土日祝日に練習試合や大会がないとすれば、そうなる。
 それで十分楽しめるという子もいるだろう。
 先生の方も、専門的指導は求められないので負担がない。

 しかし、それでは物足りない。
 もっと専門的な指導を受けたい。
 やる以上は勝ちたい。
 そういう子は、スポーツクラブに行きなさいということだ。
 最初は休日だけだが、そのうち平日も通うようになる。
 放課後は、今日はスポーツクラブ、明日は塾というような感じか。
 面倒だからというので、そのうち塾付きのスポーツクラブとか、スポーツクラブ付きの塾なんぞが現れるかもしれない。

 どっちにしても、運動をやるのに今まで以上にお金がかかりそうだ。
 施設利用料の減免、経済的に困窮する家庭への補助などが考えられているようだが、所詮は補助(ヘルプ)であり、家庭の負担は増え、年中スポーツクラブに通える子と、それが出来ない子に分かれる予感。
 塾に通わせられる家庭と、通わせられない家庭という問題が、スポーツの世界でも起こるということだ。

 勝ち負けが「●●中学vs〇〇中学」から、「●●SCvs〇〇SC」に移行する。
 SC(スポーツクラブ)は民間であるから、その繁栄をかけて中学校時代よりも勝利第一主義に陥る可能性がある。
 中学校には「部活命」の先生もいるが、所詮は個人のレベルだ。
 だが、今後は組織レベルの戦いとなる。

 もちろん、その一方では、きちんとした技術をもった専門家の指導が受けられ、子供にとってもその方が楽しいだろうという期待もある。

 何だかんだで学校だからこそ歯止めがかかったものが、学校の関与しない民間で起きる。 
 この点、どう歯止めをかけるかが今後の課題となるだろう。