ある研修会用の資料を作っている(正確にはすでに作り終わった)。
 研修内容はWEBサイト(ホームページ)を用いた生徒募集活動である。

 基本、学校のホームページは広報ツールであるから、どんなに上手く作っても、また、どんなに上手く運用しても、それ単独では生徒を集めることはできない。

 例えばの話。
 企業が新製品を開発しテレビCMを打って商品知名度を上げたとする。
 興味を持ったお客がスーパーやコンビニに買いに行く。
 が、棚に商品がなかった。
 これでは広告の無駄打ちになる。

 そうならないためには、事前に商品を店に供給しておかなければならない。
 これは営業や販売担当の仕事となる。
 また、すぐに売り切れ、安定的に追加供給できないと販売機会を逃す。
 これは流通担当や在庫管理担当の役割となる。

 すべてはチームプレーである。
 どの活動が欠けても、商品を売る(売り続ける)という最終目標は達成できない。

 学校の生徒募集に話を戻す。
 ホームページやSNSで知名度、認知度を上げる。
 また、ブランドイメージを向上させ、ファンを増やす。
 しかし現状、生徒募集がすべてネット上で完結できるシステムにはなっていない。
 そこで、フェア参加、説明会等の開催、中学校・塾訪問といった活動抜きに、生徒募集の目標は達成できない。
 粗っぽい言い方だが、ホームページ単独では生徒は集められないというのは、そういう意味である。

 だが一方、これだけネットが普及した時代、WEBサイト上での戦いに敗れたのでは、その先の勝利はおぼつかない。
 その機能、特性を知り、上手に運用することが、以前にも増して重要なのである。

 今回行う予定の研修会では、数多くのテーマを取り上げるが、そのうち二つを今日と明日で取り上げることにする。
 研修会参加の方にとっては予習または復習用となる。

◆掲載情報の三区分
 ホームページに掲載する情報は、時間軸で考えた場合、大きく三つに分類できる。
 1 固定又は半固定情報
 2 期間限定情報
 3 日々更新情報

 「1 固定または半固定情報」は学校概要などである。
 年数回程度の更新となろう。

 「2 期間限定情報」は説明会情報や、今の時期なら文化祭情報などがこれに当たるだろう。
 コロナ関連情報もここに含まれる。
 次にのべる「3 日々更新情報」は、更新頻度が高いほど、どんどん流れて行ってしまう。
 発信者、受信者双方にとって重要と思われる情報は、ここに一定期間掲出しておく必要がある。
 
 「3 日々更新情報」は、新着情報などである。
 1と2ほどの重要性はないが、ここの更新頻度は高めておいたほうがいい。
 1と2は更新頻度は必ずしも高くない。
 したがって、これだけだとページ全体の変化が少なく、それが原因で訪問者が次第に減少する恐れがある。
 リピーターの多いホームページにするためには、ここを活性化することが必要だ。

◆練習試合の結果まで載せるか
 「新着情報」や「更新情報」を見ると、部活関連情報で溢れている学校が見られる。
 最新情報がすべて部活関連という学校も珍しくない。

 練習試合に勝ったとか負けたとか、明日は練習休みだとか、一体誰に何を伝えたいのかよく分からない情報が満載だ。
 このため、学校にとって重要であると思われる情報が埋没してしまっている。

 部活が学校選びの決め手という受験生も多い。
 つまり、部活は生徒募集に一定の貢献をしている。
 これは事実だ。
 仮に一つの部活が、その魅力で受験生を10人集めたとして、それが10部活あれば、たちどころに100人の受験生を集めることが出来る。
 その意味で、部活情報の発信は、生徒募集上欠かせないとも言えるわけである。

 が、すべて部活情報というのでいいのか。
 中には、部活以外の情報を求めている受験生も多いだろう。
 部活が決め手という生徒であっても、それ以外の情報はどうでもいいと思っているわけでもないだろう。

 こうした現象を引き起こしているのは、アクセス権の問題からだろう。
 おそらく各校とも部活顧問に対し、この部分(新着情報)に自由度高くアクセスできる権限(投稿できる権限)を与えているからだと思われる。
 それ自体は別に構わない。
 生徒募集にも、ホームページ活性化にも貢献していると考えれば、無理に規制するのも逆効果だろう。

 一つの方法は、「最新情報」を「一般情報」と「部活情報」とに切り分けることである。
 実際、この方法を採っている学校も少なくない。

 学校の姿を、より正確に伝えるためには、行事に関する情報、授業や学習に関する情報、進路進学に関する情報、学校生活に関する情報などを万遍なく、かつバランスの取れた形で発信しなければならない。
 そのためには、一定のルール作りが必要であるし、全体管理者(調整役)置くなどの組織づくりも求められるだろう。