少し前になるが、埼玉新聞にこんな記事が掲載された。

 納得できない…高校「廃校」撤回を求める声 県立高校再編で「丁寧な説明したと報告?実際は通知発送だけ」(12月8日)

 すでに決まっている越生高校と鳩山高校の統合について、鳩山町議会が、鳩山高校の廃校撤回を求める意見書を全会一致で可決したというニュース。

 繰り返し言っているように、議員たちのパフォーマンス。
 一応、反対だけはしましたよというアリバイ作りだ。
 本気で阻止したかったら、もっと先に手を打たなければならない。

 統廃合計画については、以前にも記事を書いたが、今年新たに12校が対象となる計画(事実上6校を廃校にする計画)が発表されたので、次の対象校を挙げておこう。
 もちろん、こんなこと私が決めるわけではないから、予想ではこうなるだろうという話だ。
 県の発表があってからでは遅いので、市会議員、町会議員の先生方、本気出すなら今のうちだ。

 平成30年に県立高校再編整備に関する計画が発表され、これに基づいて統廃合を進めている。
 「丁寧な説明がない」と騒いでいる人は、まずはこれを読め。

 魅力ある県立高校づくり実施方策策定に向けて(再編整備の進め方)
 
 A4判3ページ、プラス地図なので、丁寧かどうかは微妙だが、方針は明確だ。
 ポイントを抜粋する。
1 平成41年(=令和11年)を目途に現在の134校を121~124校程度とする。
 つまり、13~16校を事実上の廃校とするわけだ。
 すでに(児玉白楊+児玉)、(飯能+飯能南)で2校減が決まっている。
 また今年、令和8年からの(大宮工業+浦和工業)、(岩槻+岩槻北稜)、(和光国際+和光)、(秩父+皆野)、(越生+鳩山)、(八潮+八潮南)の統合が決まっており、これでトータル8校減。
 計画達成には、あと5~8校減が必要。

2 地域バランスを考慮し、「南部、さいたま市及び県央地域」から2~4校、「南西部、川越比企及び西部地域」から2~4校、「東部及び利根地域」から2~4校、「北部及び秩父地域」から2~3校の再編整備を行う。
 まだ、まったく手がつけられていない地域があり、これが次のターゲットとなるが、これについては後述する。

3 適正な学校規模を下回る学校は、生徒募集の状況などを考慮しながら近隣の学校と統合する。
 適正な学校規模とは1学年8~6学級であるとしている。募集人員になおせば320人~240人だ。ただ、例外的に4学級(160人定員)もあるとしている。

 以上から、次に再編整備(統廃合)の対象となるのは、まだ手が付けられていない地域にあり、学校規模も小さく、なおかつ生徒募集が苦しくなっている学校とうことになる。

◆まだ、手が付けられていない地域 
①区分
【南部】なし
【さいたま】大宮工業+浦和工業 岩槻+岩槻北陵
【県央】なし
②区分
【南西部】和光国際+和光
【川越比企】越生+鳩山
【西部】飯能+飯能南
③区分
【東部】八潮+八潮南
【利根】なし
④区分
【北部】児玉白楊+児玉
【秩父】秩父+皆野 

 地域バランスを考えれば、再編整備が特定の地域に集中するのはまずい。
 今のところ、南部、県央、利根の3地域は手がつけられていないので、それぞれ1校、合計3校を廃校にすれば、すでに決まっている8校を加え11校となるので、目標の13~16校減にかなり近づく。

◆再編整備待ったなしの学校
 【県央】に該当するのは、鴻巣市、上尾市、桶川市、北本市、伊奈町である。
 すでに規模が小さく、募集も厳しいのが上尾橘(160人募集)と桶川西(160人募集)だ。(上尾南+上尾橘)や「桶川+桶川西)のように同市内の高校との統合にするか、さもなければ(上尾橘+桶川西)とする。いずれにしても、この2校が統廃合の対象となりそうだ。
 上尾市議会、桶川市議会の皆さん、がんばるなら今のうちだ。

 個人的は上尾橘のホームページはよく見ているし、授業や学習関係の情報も発信しているので、できるだけ紹介したいと思っている。
 桶川西は「このホームページは、埼玉県立桶川西高等学校が管理する公式ホームページです。本校に断りなく転載・リンクすることは、ご遠慮ください」と書いてある。転載はともかくリンクもダメだとなると紹介しようがない。

 北本(160人募集)も定員割れだが、市内に1校しかない。
 鴻巣女子(普通科80、保育40、家政科学40)も募集はかなり厳しいので、鴻巣との統合が考えられなくもない。元々鴻巣高校だった時代もあるわけだし。
 念のため、北本市議会、鴻巣市議会の皆さんにも、がんばっておいてもらおう。

 【利根】に該当するのは、行田市、加須市、羽生市、久喜市、蓮田市、幸手市、白岡市、宮代町、杉戸町である。
 現状のラインナップは次のとおり。

 ●行田市 進修館
 ●加須市 不動岡
 ●羽生市 誠和福祉 羽生第一、羽生実業、羽生(定時制)
 ●久喜市 久喜 久喜北陽 久喜工業
 ●蓮田市 蓮田松韻
 ●幸手市 幸手桜
 ●白岡市 白岡
 ●宮代町 宮代
 ●杉戸町 杉戸 杉戸農業

 市や町の規模や、各校の募集状況を見れば、誠和福祉を除いた羽生市の3校を整理したいところだ。
 昼間定時制の羽生は近隣の他校と統合しにくい。
 羽生第一(160人募集)はぎりぎり定員確保できるかどうかの状態。
 羽生実業(4科合計120人募集)は全科大幅定員割れ。羽生第一との統合もありだが、商業系2科は幸手桜(総合学科だが、元は幸手商業)に統合、農業系2科は杉戸農業に統合という手もありそうだ。
 いずれにしても、この町の規模で3校(誠和福祉は県下唯一の福祉科だし、元々は不動岡誠和なので加須市でカウント)は多過ぎるだろう。
 羽生市議会の皆さん、がんばるのは今のうちだ。

 蓮田松韻(200人募集)、白岡(160人募集)、宮代(200人)は規模も小さく募集的にも厳しいが、市(町)に1校なので簡単にはつぶしにくいと思われるが、蓮田市議会、白岡市議会、宮代町議会の皆さんにも、今のうちにがんばっておいてもらおう。

 【南部】に該当するのは、川口市、蕨市、戸田市だ。
 現状のラインナップは次のとおりだ。
 
 ●川口市 川口 川口北 川口東 川口青陵 鳩ヶ谷 川口工業
 ●蕨市 蕨
 ●戸田市 南稜 戸田翔陽

 規模を維持し、定員を満たしている学校がほとんどなので、今のところ候補が見つからない。募集的にやや厳しいのは川口工業だが、浦和工業もなくなって、さらに川口工業もなくなると、県南地区は大宮工業だけになる。今や鋳物の街とは言えなくなった川口だが、街の象徴の一つでもあった工業高校をなくせるかという問題もある。
 
 県としては、施設設備など維持管理に金のかかる工業高校をある程度整理したいところだろう。
(大宮工業+浦和工業)で一つは達成したが、もう一つということになれば、(春日部工業久喜工業)、(川越工業狭山工業)もあり得る話だ。昔は一緒だった熊谷工業熊谷商業を再統合という手もあるが、工業系学科を残した形では費用削減効果が限定的だ。

 以上、少し長くなったので、日を改めて続編を書いてみようと思う。