広報の世界に「ステークホルダー」という言葉がある。
 企業や団体、自治体などと直接的または間接的に利害関係を持つ人である。
 学校の場合で言えば、生徒、保護者、卒業生、教職員、マスコミ、行政、地域住民、企業などと幅広くステークホルダーが存在する。
 が、今日は広報の講義ではないので、これについては深入りしない。

 取り上げたいのは卒業生や、その組織である同窓会だ。
 学校から見たステークホルダーであるから、広報活動の対象となるわけである。
 
 個人的には、卒業生を意識した(念頭に置いた)広報活動は非常に重要であると考えている。

 最近、春日部高校のHPにこんな記事が掲載されていた。

 【校長ブログ】先輩たちが現役生をいつも支援~春日部高校同窓会~(1月22日)

 詳しくは本文をお読みいただきたいが、「高校も大学も伝統校では同窓会組織が現役生を支えてくれます。春日部高校同窓会は国内外に37の支部があり、卒業後もしっかりと卒業生をサポートしてくれます。これが新興の学校との決定的な差だと思います」などと書かれている。
 この学校では同窓会が「大河滔々(たいがとうとう)奨学基金」を設立し、在校生に経済的支援を行っている。
 企業や研究の第一線で活躍するOBが訪れセミナーを行うなど教育面でも積極的な支援を行っている。
 校長も述べているように伝統校ならではである。

 私は、同窓会を単なる親睦団体にとどめておくのは非常にもったいないことだと考えている。
 春日部だけでなく浦高のような伝統校も「公益財団法人県立浦和高等学校同窓会奨学財団」を設立し、経済的支援を行っている。

 少子化が加速する現在、寄付を集めるのは非常に重要なことだ。
 学納金や補助金の減少を補うのは寄付金だ。
 同窓会が「母校に寄付をしてくれる組織」になってくれれば、学校の財政もいくらかは楽になるだろう。

 そのためには同窓会の活性化が必要だ。
 学校が直接管理下におくことはできないが、良好な関係を築くことはできる。
 学校ホームページに、「受験生の皆さんへ」だけでなく「卒業生の皆さんへ」のメニューも作ってほしい。
 (現状あるにはあるが、証明書発行や教育実習などの事務的連絡がほとんど)

 学校はメニューを作るだけでなく、同窓会にお願いして、その先の同窓会ホームページを充実させてもらおう。

 同窓会ホームページの事例をいくつか紹介しておく。

●春日部高校同窓会ホームページ

 このような感じできれいに作られているし、更新頻度も高い。
 「中学生の保護者の方々へ」と、同窓会からのメッセージもある。

●浦和一女同窓会ホームページ
 見やすくきれいという点では浦和一女もいい。

 上のようなバナーが貼ってあり、そこから入る形だ。

●川越高校同窓会ホームページ
 ここも内容豊富で、更新頻度も高い。

●浦和高校同窓会ホームページ
 一応会員なので紹介しておくが、デザインが古い。

 ここまで伝統校ばかりなので、50年ちょっとの学校も紹介しておこう。
 
●越谷北同窓会ホームページ
 デザインは古いが、頑張って更新している。

 新興の学校である私立も紹介しておこう。

●浦和学院高校同窓会

 学校HPの下の方に上図のようなバナーが貼ってある。
 学校本体のHPは最近のデザインだが、同窓会HPは非常に古いタイプで、あまり更新されていないのが残念なところだ。

●埼玉栄高校同窓会(栄宝会)

 学校トップページに「卒業生の方」というメニューがあり、そこから別サイトの同窓会ページに入れる。
 更新は定期的にされている。

●栄東高校同窓会
 埼玉栄同様、トップページの「卒業生の方へ」から入る。
 サイトに入ると「同窓会で人脈をアップデートしよう」のキャッチが目に飛び込んでくる。
 上のような形で会員登録を促している。
 「2028年 栄東は創立50周年を迎えます。私たち栄東高校同窓会は世代を超えた卒業生の『一万人ネットワーク』を作ります」
 と、なかなかの本気モードだ。

 ホームページを作ることは何ら難しいことではないが、問題は同窓会自身が組織として活性化するかどうかだ。
 寄付をしてくれる組織になるまでに10年単位の時間を要すると思うが、だからこそ早く始めて欲しいと思う。