約1年ぶりに大宮工業を訪問した。
 前回は「よみうり進学メディア」のための取材、今回は埼玉新聞受験特集の取材。
 受験情報紙の記事は普通科や進学校に集中しがちだが、この2紙では定期的に専門高校・専門学科も取り上げている。

 取材に基づく記事は7月に発行される埼玉新聞受験特集に譲るとして、今回2点ほどお願いをしてきたことがあるので、それについて報告しておこう。

◆進路・進学情報をもっと充実させてほしい
 学校HPには、「進路だより」というメニューがあり、ここで進路状況などを見ることができる。
 「進路だより」というメニューだと、在校生向けの「進路だより」を転載しているのかと誤解される。
 ここはズバリ「進路結果」としたほうがいいだろう。
 もしくは、「進路指導」のメニューの下に、「進路指導方針・目標・計画」及び「進路結果」といったサブメニューを設ける。

 掲載されている進路状況については、学科ごとの状況が細かく分かるし、大学進学についてもどのような入試方式によるものかなども分かる。せっかくここまで細かく親切に載せているのに、メニュー名の曖昧さのために読まれる機会を失っている。

 「進路だより」には、進路関係行事の報告記事が載っているので、どのような進路指導が行われているのかが何となく分かる。
 しかし、昨年度一年間で記事件数5件というのは、あまりにも少ない。
 進路指導の目標、方針、計画を整理して載せた上で、行事などの最新情報を最低でも月に1~2件はあげないと、進路指導に熱心な学校というイメージは築きにくいだろう。

 私のような立場であれば、「大宮工業が就職に強いのは当然じゃないか」と思うが、相手は平成20年(2008年)生まれの15歳である。
 なぜ大宮工業が就職に強いのかをしっかり説明してやらないと分からない。

 工業に限らず、これからは専門高校も大学進学指導についてていねいに説明する必要があるだろう。
 つい最近訪ねた浦和商業は「就職と進学に強い」をアピールしている。

 大学2割、専門学校を含めれば4割が上級学校に進むのであるから、それらの指導がどうなっているかも知りたいところだ。
 信じがたいことだが、専門高校に入ると上級学校への進学の道が閉ざされると思っている受験生・保護者は多いのだ。

 進学と就職との間に優劣はない。
 ただ、実際には高校入学後、就職よりも進学に傾く生徒が一定数いるわけだから、その場合、どのような指導やバックアップが保証されているのかは入学前に知らせておくべきだろう。

◆言葉で説明するより動画が早い
 専門高校・専門学科の学びについて、その内容を詳しく説明できる人はこの世には僅かしか存在しない。
 専門高校・専門学科に勤務した経験がある先生方だけだろう。

 私は教員経験者だが普通科なので無理。
 中学校の先生には無理。
 塾の先生も無理。

 そうそう、今日の帰り際、校長先生が塾説明会を開きたいと言っていた。
 一人でも二人でも理解者を増やしたほうがいい。

 中身が分からない学校に進んで入ろうという中学生はいない。
 だが、中身を知れば、この道に進もうという生徒ももっと現れるだろう。
 それには情報発信だ。
 それも動画による情報発信。

 専門高校・専門学科を説明しようとすると、言葉が難しくなる。
 それはそうだ。
 「専門」のことをやっているから、「専門用語」が出て来る。
 言葉で説明することが難しい事柄は、映像で見せる。
 これなら難しい言葉は分からなくても、どんな勉強をしているか大体イメージできる。

 各校各科とも、写真入りで説明したり、記事掲載したりしている。
 一応紹介動画のようなものもある。
 ただ、私に言わせれば圧倒的に情報量が不足しており、これでは伝わらない。

 そこで今日、私がお願いしたのは、日々の学習や実習の様子を動画付きニュースで配信して欲しいということだ。
 映像の情報量は文字・テキストの5000倍という説もあるくらいだ。

 工業高校なのだから機材はいくらでもあるだろう。
 知識や技術はお手のものだろう。

 テクノロジーやシステムを教え、学んでいる学校なのだから、先生や生徒が趣味レベルでやっている普通科とは比べ物にならないほど上質なものが出来るだろう。
 また、そういう技術を見せつけることで、人々の工業高校を見る目が違ってくるだろう。