埼玉公立の共学化問題。
 主にマスコミ報道の視点から語る。

 本日(10月16日付)の埼玉新聞WEB版のニュース。
 
入学拒否で苦情…男女別学の埼玉県立高校に“共学化”の動き、ポイントを解説 「今も同じでは」相次ぐ声(10月16日 埼玉新聞)

 なお、紙版の埼玉新聞では第2面に次のような見出しで掲載されている。
《県立高「共学化」実現へ 市民団体が学習会開催》
 記事本文の内容は同じだが、見出しだけが違う。
 同じ発行元なのに、紙版とWEB版で、なぜ見出しが異なるのか。

◆19文字対42文字、この差はなぜ
 見出しが異なる理由で一番大きいのは、スペース問題である。
 紙の方は、紙面(新聞紙)の大きさが決まっているので、メインの見出しは可能な限り6文字から8文字程度、多くても10文字以内に抑えなければならない。サブの見出しも活字の大きさ(級数)を下げて15文字がギリギリだろう。

 見出しに大きなスペースをとると、記事本文や写真類を圧迫する。
 掲載できる記事数全体にも影響する。
 だから、見出しの文字数は節約する。
 今回の記事も「 」を除くと合計19文字。

 それに対し、WEBの方はスペースの制約がない。
 全くないわけではないが、それほど気にしなくていい。
 だから、読者の気をひきそうなワードをこれでもかと盛り込む。
 今回の記事は「 」など除いて合計42文字。

 以上が、紙とWEBで見出しが異なる第一の理由である。

◆フリーの読者をひきつける
 もう一つ考えられるのは、読者の属性だ。
 紙版の読者は、定期購読者である。
 駅売りやコンビニ売りもあるが、基本は定期購読者(月額3500円)。
 購読とは、文字通り購入して読むことだが、新聞社的には、一つ一つの記事を読んでくれるかどうかよりも新聞そのものを購入してくれるかどうかが重要である。
 だから、すでに料金をもらっている定期購読者を見出しで「釣る」必要はほとんどないわけだ。

 一方、WEB版の読者は、通りすがりのフリーの読者である。
 しかも、無料(タダ)で読む人。

 タダで読む人がいくら増えても新聞社の売上(利益)には直接つながらない。
 本屋の立ち読みと一緒。

 だが、WEBの世界で重要なのはPV(ページビュー)というやつだ。
 PV数はすべてカウントされる。
 PV数は、広告単価に跳ね返る。
 よく読まれる新聞ということになれば、広告が入りやすくなるし、掲載料(広告単価)を引き上げることができる。

 結局、新聞というのは紙にしろWEBにしろ、広告で成り立つビジネスモデルなのである。

◆教育問題はPVを稼ぎやすい
 何度も書いているが、教育問題は人々の関心を集めやすい。
 
 イスラエルだパレスチナだ、ハマスだガザだと言っても、よく分からない人がほとんどだ。
 さしあたり自分には関係ない。
 何かを語ってみろと言われても、「殺し合いはよくない」という程度が精一杯だ。

 その点、教育問題は誰でも語れる。
 自分には関係ない(関係なかった)という人は日本に存在しないのだ。
 PVを稼ぐには絶好のネタだ。
 先般の「埼玉県虐待禁止条例改正案」も、子育て問題に焦点をずらしたことで話題作りに成功した。

 今回の埼玉新聞記事は、Yahoo!ニュースにも転載された。

 入学拒否で苦情…男女別学の埼玉県立高校に“共学化”の動き、ポイントを解説 「今も同じでは」相次ぐ声(10月16日 埼玉新聞)(Yahoo!ニュース)

 Yahoo!ニュースに取り上げられると一気にPV数が増える。
 そして、コメントを付けて盛り上げてくれる人も現れる。
 「なんで、こんな些細なことを記事にするのか」みたいなコメントもあったりするが、それは「お前らみたいな連中がいるからだよ」となる。

◆再び、共学化は喫緊の問題ではない
 共学化は喫緊の課題ではない、というのは以前にも述べたとおりである。
 このブログ読者の皆さんは専門家が多いと思われるので、細かくは説明しないが、いま埼玉県は統廃合(要は学校数の削減)の途上である。
 定時制や通信制の改組も必要だし、専門高校の改編も求められている。
 中高一貫や中等教育学校の設置も考えなくてはならない。
 それらを差し置いてまで進めなければいけない問題ではないだろう。

 20年30年といった長期スパンで考えれば、共学化が自然の流れではあるだろう。
 にしても、結論を出すのは若い世代の皆さんだ。
 棺桶に片足突っ込んだような私の出番じゃない。

 今回の記事の話に戻る。
 参加者20人程度の小さな集会だ。
 わざわざ記事にするような問題でもない。
 見出しでは「共学化の動き」などと煽っているが、少なくとも行政や学校現場にそのような動きはない。
 が、前述したように、PVの稼ぎやすいネタなのである。

 記事に市民団体「共学ネット・さいたま」の集会とあったので、ネット検索してみたが、ホームページなどは無いようだ。
 おなじく記事中、「会員の亀田温子氏」とあったので、これも検索してみた。
 ジェンダーなどを研究している十文字女子大学教授がヒットした。
 同姓同名の別人だったらゴメンナサイだが、もしもこの方が女子大教授だったらとしたらご自身の大学の共学化はどう考えているのだろう。
 そう言えば、この件の元になった苦情処理委員・武田万里子氏もたしか津田塾大学教授だった。
 まあ、そういう立場だからこそ様々な差別に直面しご苦労も多いと、ここでは思いっきり好意的に見ておくことにしよう。