年がら年中、学校ホームページやSNSを追いかけていると、「おっ、担当が変わったな」と気づくことがある。
 新年度はそれが顕著に現われる。

◆HP、SNS運用は何が難しいのか
 HPやSNSの運用には、ほんの少しだけ専門知識や技術が求められる。
 と言っても、その知識や技術は、そこらの兄ちゃん姉ちゃんでも簡単にマスターできるし、小学生の子供だってできる。
 よって、その困難さは知識や技術ではなく別のところにあるのだ。

 では、困難さはどのあたりにあるのか。
1 時間(いつやるの)
 HPやSNS運用は、教員にとって本業とは言い難い。
 個人的には広報は重要な業務であり、本務の一部と考えるが、雑務ととらえる人もいるだろう。
 が、そのあたりの話は別の機会に譲るとして、いずれにしても、これらの運用のためには一定の時間を確保しなければならず、そこに一つの困難さがある。
 
 たまに思いついてやるものではなく、やるなら毎日更新、毎日アップの世界だ。
 となれば当然、「じゃあ、いつやるのよ」という問題が発生する。

2 担当者(誰がやるの)
 この任務をどの分掌に割り振るかも大きな問題だ。
 既存の分掌に新たな任務として割り振るのか、または別の委員会などを立ち上がるのか。
 どちらにしても「公式」を名乗り、大げさに言えば全世界に向けて発信するのであるから責任の所在は明らかにしなければならない。

 というわけで、「じゃあ、いつやるのよ問題」と並び、「じゃあ、誰がやるのよ問題」も重要になるのである。

 と、ここまでは一般論だが、もう少し具体的な話をしよう。
 「誰がやるの問題」に関わる話である。

◆センスと判断力
 HPやSNSの運用には知識や技術が必要と書いたが、それと同じくらい必要なのはセンスである。
 いや、今の時代、機器の性能はどんどん進化しているから、むしろセンスの方が重要である。

 以前のブログで、HP運用は情報の先生にお任せという学校はその時点で終っていると書いた。平成の前半くらいまでの発想だからだ。
 たまたま情報の先生がセンスを兼ね備えていれば鬼に金棒だがそう上手くは行かない。
 知識や技術のある人にセンスを身につけてもらうのと、センスのある人に知識や技術を身につけてもらうのとではどちらが早いか。これは断然後者の方が早い。

 HPやSNS運用にもう一つ欠かせないのは総合的な判断力だ。
 炎上などはそう滅多に起きるものではないが、撮影の仕方一つ、表現の仕方一つでトラブルに発展する可能性が皆無とは言えない。かなりあると言っていいかもしれない。

 それを防ぐにはチェック体制を整備すればいいのだが、それでは発信のタイミングを失ってしまう。この世界では「鮮度」はかなり重要であるから、管理職が出張なので更新ストップでは困るのだ。

 よく若い人のセンスに期待したいという声を聞く。
 さしあたり主たる視聴者を中学生と想定した場合、たしかにそれは一理ある。
 だが、かれらには教員として、また社会人としてのキャリアが不足しており、ここに危うさがある。
 何がどんな問題を引き起こすかという想像力と、何がどこまで許されるのかという判断力は、ある程度経験を経て身につくものだ。

 センスと判断力を兼ね備えた人材が、どの学校にも大勢いれば何の悩みもないのだが、そうは問屋が卸さない。
 
 HPがなかなか更新されない学校や、SNSを開設したいと言いながらなかなか始まらない学校は、大概は人にまつわる部分でつまずいているのである。