昨日(7月24日)、埼玉県教委から令和9年度入試学力検査に関する発表があった。

令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜 学力検査問題について

◆マークシート方式導入
 マークシート導入は時間の問題だった。
 首都圏では東京都、神奈川県は以前からマークシート、千葉県も昨年からマークシート。
 埼玉もいつまでも手書きというわけにも行くまい。

 マークシート方式導入のきっかけは採点ミスだった。
 その後、これに働き方改革やDX推進が加わった。
 手書きを続ける理由がなくなった。

◆国語・作文は廃止
 国語の作文(配点12)は廃止される。
 作文は私が現役教員だった40年前からあった。
 始まりがいつだったかは分からないが少なくとも半世紀は続いたのだろう。

 採点にもっとも時間がかかる問題である。
 採点基準も学校によって大きくばらけがち。

 作文廃止により採点時間は大幅に短縮される。
 国語の先生の負担は軽くなった。
 全校で面接を実施することになったので、トータルの仕事量を減らすには採点と集計の時間を短縮するしかない。

 受験生は必要な対策が一つ減った。
 塾業界はサービスラインナップが一つ減った。

◆記述問題は1割程度
 マークシート方式が導入されても一部記述式問題は残すようだ。
 「得点に換算して、マークシート方式の問題が9割程度、記述式の問題が1割程度」と発表されている。
 つまり各教科10点程度は記述式問題が残るが、記述の割合が高いという埼玉の公立入試の特色は失われる。

 塾業界としては1割(10点)の記述問題が合否を分けると言いたいところだろうが、それが言えるのはごく一部の上位校だけだろう。
 平均以下の受験生にとって記述対策は不要になる。おそらく今でもそれに近い状況と思われるが、それが決定的になる。9割を占める記号選択問題、すなわちマークシート解答問題対策だけやっていればいい。 
 
 記述問題対策も求められる上位校狙いのごく一部の受験生と、それを必要としない大部分の受験生という形にはっきり分かれる。

◆選択肢増やせば難問に
 マークシート方式の導入により記号選択問題が増える。
 これは確かなことだ。
 では、それによって受験生は楽になるか。また、まぐれ当たりは増えるか。
 ここは誤解する子がいるかもしれないので釘を刺しておこう。

 今の埼玉の記号選択問題は四択が主流で、五択が少しあって六択が稀にあるという状態だ。
 実際に県がそのような方針を打ち出すかどうかは分からないが、四択を五択にするだけでまぐれ当たりの確率はぐんと低下する。神奈川県には八択もあったと思う(このあたりは塾の先生方が圧倒的に詳しい)。

 記号選択問題はマルかバツかしかない。
 オールオアナッシングであって中間というものがない。
 何か書いておけば1点か2点はもらえるかもしれないというのがほとんどなくなる。
 これはこれで厳しいものだ。